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平成30年1月1日施行の職業安定法改正のポイント

投稿日時:2017年12月13日

平成29年3月31日に成立した改正職業安定法が、平成29年4月1日、平成30年1月1日、そして「公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日」において、それぞれ段階的に施行されています。その中でも、平成30年1月1日の施行内容については、企業が労働者募集をする際に対応すべき事項が多く含まれておりますので確実に理解しておく必要があります。

今回の主な改正のポイントは、下記の4項目です。来年1月以降の求人で必ず対応すべき重要事項ばかりですので、年内に社内の業務マニュアルや諸書式の見直しをされておくことをおすすめします。

1.募集~労働契約締結の間に労働条件に変更があった場合の、速やかな変更内容明示
ハローワーク等への求人、または自社で労働者の募集を行う際、当初明示した労働条件を変更する場合には、その内容を確定後速やかに明示しなければなりません。
2.労働条件変更時の適切な変更内容明示方法
労働条件の変更は下記の場合に、当初の明示と変更された後の内容を対照できる書面を交付する方法によって速やかに明示されるべきとなっています。
※労働条件通知書において、変更された事項に下線を引いたり着色したりする方法や、脚注を付ける方法での通知も可能です。
・「当初の明示」と異なる内容の労働条件を提示する場合
例)当初:基本給28万円/月⇒基本給25万円/月

・「当初の明示」の範囲内で特定された労働条件を提示する場合
例)当初:基本給25万円~30万円/月⇒基本給28万円/月

・「当初の明示」で明示していた労働条件を削除する場合
例)当初:基本給23万円/月、営業手当2万円/月⇒基本給25万円/月

・「当初の明示」で明示していなかった労働条件を新たに提示する場合
例)当初:基本給25万円/月⇒基本給23万円/月、営業手当2万円/月

3.求人の際に明示すべき労働条件の追加
労働者を募集する際に明示すべき労働条件に、下記が追加されました。
・試用期間の有無/期間
・裁量労働制を採用している場合のみなし労働時間
・固定残業代を支給している場合の「金額」「手当が時間外労働何時間相当のものか」「○時間を超える時間外労働分の割増賃金を追加で支給する旨」の明示
・募集者の氏名又は名称
・派遣労働者として雇用する場合、雇用形態を「派遣労働者」と明示
4.職業安定法に基づく指針等の遵守
労働者条件の明示にあたり、職業安定法に基づく指針等を理解し、従うこと。

参照:厚生労働省「職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者、労働者供給事業者等が均等待遇、労働条件等の明示、求職者等の個人情報の取扱い、職業紹介事業者の責務、募集内容の的確な表示等に関して適切に対処するための指針」

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000139950_1.pdf

平成30年1月1日施行の改正職業安定法の各項目については、下記リーフレットより確認することができます。

参照:厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ~労働者の募集や求人申込みの制度が変わります~」

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000171017_1.pdf

詳しくは下記参照先をご覧ください。
参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000172497.html

平成28年度の個人情報保護法の施行状況を公表

投稿日時:2017年12月13日

個人情報保護委員会は、「平成28年度個人情報の保護に関する法律施行状況の概要」を取りまとめ、公表しました。個人情報保護法については、大幅な改正が行われ、2017年5月30日から全面施行されたところですが、この施行状況の概要は、平成28年4月1日から全面施行前の本年5月29日までの状況を取りまとめたものです。

公表された情報から、「事業者等の個人情報の保護に関する取組の状況」の概要を紹介します。

●地方公共団体及び国民生活センターに寄せられた、個人情報に関する苦情相談は、合計4,382件。そのうち、消費生活センターが受け付けたものが約98%を占めています。

平成28年度個人情報の保護に関する法律施行状況の概要

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【出典 個人情報保護委員会 平成28年度個人情報の保護に関する法律施行状況の概要】

●苦情相談内容は、不適正な取得に関するものが全体の約40%で最も多く、次いで、漏えい・紛失に関するものが約25%、同意のない提供に関するものが約21%、目的外利用に関するものが約10%。
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 【出典 個人情報保護委員会 平成28年度個人情報の保護に関する法律施行状況の概要】

●事業者が、「個人情報の保護に関する基本方針」に基づき、公表した個人情報の漏えい事案は、合計263件。

●漏えいした個人情報の種類について、顧客情報、従業員情報及びその他の情報に分類すると、ほとんどの事案について、顧客情報が含まれています。

●漏えいした情報の形態についてみると、電子媒体のみが約64%、紙媒体のみが約35%。漏えいした情報に対する暗号化等の情報保護措置の有無についてみると、特段措置を講じていなかった件数が、全体の約67%を占めています。

漏えいした情報に対する暗号化等の情報保護措置の有無についてみると、特段措置を講じていなかった件数が、全体の約67%となっています。暗号化等の情報保護措置とは、情報の暗号化、紛失したパソコンへのパスワードによるアクセス制限などの情報保護のために講じられた措置をいいます。

詳しくは下記参照先をご覧ください。
参照ホームページ [ 個人情報保護委員会 ]
http://www.ppc.go.jp/files/pdf/personal_sekougaiyou_28ppc.pdf

年末年始休業のお知らせ

投稿日時:2017年12月11日

平成29年12月30日(土)~平成30年1月4日(木)まで年末年始のため休業を致します。

中小企業庁は、「中小企業・小規模事業者人手不足対応ガイドライン」を公表

投稿日時:2017年11月28日

中小企業・小規模事業者の人手不足は全業種にわたって深刻化しており、経営上の不安要素としても年々大きくなっています。根本にあるのは、少子高齢化で生産年齢人口が減少しているという問題です。

中小企業は大企業よりも離職率が高く、建設、サービス(介護・看護)、宿泊・飲食といった人手不足感の強い業種では離職率も比較的高い状況です。中小企業は一定のキャリアを積んだ即戦力ミドルや新卒を求めているものの、新卒の大企業志向や大企業との賃金格差、高い離職傾向など、中小企業・小規模事業者をめぐる状況はより一層厳しい状況となっています。

そこで、多様な働き手が活躍できる職場づくりや、ITや設備の導入による生産性の向上により、人手不足を乗り越えている好事例からポイントとなる考え方を抽出し、人手不足対応のガイドラインとして取りまとめています。

具体的には、(1)経営課題や業務を見つめ直す、(2)業務に対する生産性や求人像を見つめ直す、(3)働き手の目線に立って人材募集や職場環境を見つめ直す、という3つのステップを提唱しています。

100を超える好事例は、業種別、経営課題別等に整理して分類されており、また、ガイドラインに沿った取り組みに役立つ支援策も紹介しています。

■重要な3つのステップ

女性、高齢者、外国人等の多様な人材に視野を広げ、働き手の立場に立った職場環境整備等を進め、人材を掘り起こすことや、ITや設備の導入、人材育成等により労働生産性を向上させていくことが重要となります。ガイドラインでは、次の3つのステップが重要と説明しています。

ステップ1:経営課題や業務を見つめ直す
自社のニーズ・課題に遡って捉えることで、経営課題についての解決の方向性・優先度を再認識します。出発点として、人材確保の経営課題上の意味・目的を明確化した上で、人手が不足している業務を見つめ直します。この際に、固定観念を払拭することが重要です。

ステップ2:求人像や生産性を見つめ直す
IT・設備の導入やラインの組み替え、レイアウトの変更、アウトソース等の業務改革により生産性を高めること、ムリ(設備や人への過負担)・ムダ(原価を高める要素)・ムラ(仕事量・負荷のバラつき)の削減や標準化が業務に対する生産性改善となります。業務の見直しと合わせて、主婦層やシニア層といった求人像の幅を広げることが重要です。

ステップ3:働き手の目線で、人材募集や職場環境を見つめ直す
働き手の目線に立って、採用・自社PRを見つめ直します。このためには、ターゲットに対するメッセージがリアルで明確であることが重要となります。さらに、女性(主婦等)や高齢者、外国人といった働き手の制約が何かを考え、その対応策を講じることが重要です。

詳しくは下記参照先をご覧ください。
参照ホームページ [ 中小企業庁 ]
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/koyou/2017/170703hitodebusokugl.html

働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱

投稿日時:2017年10月05日

平成29年9月8日、労働政策審議会(労働条件分科会)において、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」が示され、内容について労使の代表から意見が述べられました。

改正案として示されたのは、以下8つの法律です。

・労働基準法
・じん肺法
・雇用対策法
・労働安全衛生法
・労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律
・労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の一部改正
・短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
・労働契約法

このうち、平成27年に国会に提出され審議されないままになっていた高度プロフェッショナル、企画業務型裁量労働の対象業務拡大等の改正案については、一部修正が加えられました。

修正内容は、本年7月に日本労働組合総連合会会長の神津会長が、安倍総理に申し入れをした長時間労働防止、健康確保措置の義務付け、企画業務型裁量労働制については、対象業務を拡大解釈することがないよう、業務範囲の明確化等となっています。

■修正・新設事項のポイント

【企画業務型裁量労働制】
「企画・立案・調査及び分析を主として行うとともに、その成果を活用」、「対象業務を適切に遂行するために必要なものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する知識、経験等を有するものに限る」とされ、単なる営業職や現場の業務を行う職種は対象とならないことと明記されました。
また、使用者の義務として、健康確保措置として勤務間インターバルや一定の労働時間を超えないようにする措置、年次有給休暇以外の有給休暇の付与等が盛り込まれました。

【高度プロフェッショナル制度】
労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に意見を述べることを目的とする委員会が設置された事業場で、委員の5分の4以上の決議があり、かつ、決議を使用者が労働基準監督署に届け出ること、健康確保措置として実施した内容を届け出ることが条件となります。(年収の条件や対象業務については修正がありません)

これら一連の改正法案の施行日は、平成31年4月1日となります。
ただし、雇用対策法は公布の日、中小事業主に猶予されている1月60時間を超える時間外労働の割増賃金率5割については、平成34年4月1日施行とされています。

審議会では、労働側委員からは、この修正があっても、高プロ・企画業務型裁量労働制の対象業務拡大には、揃って反対の意見が述べられましたが、使用者側委員からは評価すべきものという意見もありました。

次回の審議会では、秋の臨時国会への提出を見据え、改正要綱を労使双方が持ち帰り意見をまとめることとなります。

詳しくは下記参照先をご覧ください。
参照ホームページ [ 厚生労働省 ](http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000176894.pdf