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2025.03.26NEW
育児休業等給付(出生後休業支援給付金と育児時短就業給付)の概要
育児休業等給付には、出生時育児休業給付金、育児休業給付金、出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金があります。出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金は、令和7年4月1日から創設される給付金です。支給を受けるためには所定の手続きが必要となりますので、事業所を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)で手続を行ってください。ここでは令和7年4月1日から創設される「出生後休業支援給付金」と「育児時短就業給付金」の概要をご紹介します。
1:出生後休業支援給付金
出生後休業支援給付金は、出生時育児休業給付金または育児休業給付金の支給を受ける者が、一定の要件を満たした場合に上乗せで支給される給付金です。
出生後休業支援給付金の概要
(1)出生後休業支援給付金の支給要件
・同一の子について、出生時育児休業給付金が支給される育児休業を通算して14日以上取得した被保険者であること。
※2025年(令和7年)4月1日より前から引き続いて産後パパ育休(出生時育児休業)をしている場合は、2025年(令和7年)4月1日以
後の産後パパ育休(出生時育児休業)が14日以上取得されている必要があります。
※産後パパ育休の期間に育児休業給付金が支給される育児休業を取得している場合は、その日数も通算します。
※被保険者が産後休業をしていない場合(被保険者が父親または子が養子の場合)は、「子の出生日または出産予定日のうち早い日」か
ら「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間
※被保険者が産後休業をした場合(被保険者が母親、かつ、子が養子でない場合)は、「子の出生日または出産予定日のうち早い日」か
ら「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して16週間を経過する日の翌日」までの期間
・被保険者の配偶者が子の出生日の翌日において「配偶者の育児休業を要件としない場合」に該当していること、または、被保険者の
配偶者も産後パパ育休の期間に通算して14日以上の育児休業を取得したこと、または「子の出生日または出産予定日のうち早い日」
から「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間に通算して14日以上の育児休業
を取得したこと
(2)出生後休業支援給付金の支給額出生後休業支援給付金の支給額=休業開始時賃金日額×休業期間の日数(28日が上限)×13%
・事業主から支払われた賃金の額が「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の13%以下であれば、出生時育児休業給付金(または育児
休業給付金)、出生後休業支援給付金ともに減額されません。・事業主から賃金が支払われ育児休業給付金の額が減額される場合でも、出生後休業支援給付金の額は減額されませんが、事業主から
支払われた賃金の額が「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の80%以上の額となり出生時育児休業給付金(または育児休業給付
金)が支給されない場合は、出生後休業支援給付金も支給されません。2:育児時短就業給付
令和7年4月1日から、2歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮して就業した場合に、賃金が低下するなど一定の要件を満たすと「育児時短就業給付金」の支給を受けることができます。育児時短就業給付金の概要
育児時短就業給付金は次の(1)の要件をいずれも満たす方であって、育児時短就業中の(2)の要件をすべて満たす月について支給されます
(1)受給資格
・2歳未満の子を養育するために、1週間当たりの所定労働時間を短縮して就業する被保険者であること。
※「被保険者」とは、雇用保険の一般被保険者と高年齢被保険者をいいます。・育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き、同一の子について育児時短就業を開始したこと、または、育児時短就業開始日前2
年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上ある)完全月が12か月ある
こと。
※「育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き育児時短就業を開始したこと」とは、育児休業終了の翌日(復職日)から育児時
短就業を開始する場合に加え、育児休業を終了した日と育児時短就業を開始した日の間が14日以内の場合をいいます。
※過去に基本手当の受給資格や高年齢受給資格の決定を受けたことがある場合は、それ以降のものに限ります。育児時短就業開始日前
2年の間に、疾病、負傷、出産、育児等やむを得ない理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった期間があ
る場合は、当該理由により賃金の支払いを受けることができなかった期間を2年に加算することができます(合計で最長4年間)(2)各月の支給要件
・初日から末日まで続けて、被保険者である月
・1週間当たりの所定労働時間を短縮して就業した期間がある月
・初日から末日まで続けて、育児休業給付又は介護休業給付を受給していない月
・高年齢雇用継続給付の受給対象となっていない月例-1:育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き、同一の子について育児時短就業を開始した場合
(3)支給対象となる時短就業(育児時短就業)
育児時短就業給付金の支給対象となる時短就業(育児時短就業)とは、2歳に満たない子を養育するために、被保険者からの申出に基づき、事業主が講じた1週間当たりの所定労働時間を短縮する措置をいいます。・1週間当たりの所定労働日数を変更した結果、1週間当たりの所定労働時間が短縮される場合を含みます。
・短縮後の1週間当たりの所定労働時間に上限・下限はありません。このため、育児・介護休業法に基づく所定労働時間の短縮措置(1
日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むもの。)に限らず、2歳に満たない子を養育するために1週間当たりの所定労働
時間を短縮した場合は、育児時短就業と取り扱います。
・被保険者が子を養育するために短時間正社員、パートタイム労働者等に転換、転職したことに伴い、1週間当たりの所定労働時間が
短縮されている場合も、育児時短就業と取り扱います。
・ただし、短縮後の1週間当たりの所定労働時間が20時間を下回る場合は、子が小学校就学の始期に達するまでに1週間の所定労働時
間が20時間以上となる労働条件に復帰することが前提であることが就業規則等の書面により確認できる場合を除き、雇用保険の被保
険者資格を喪失することとなり、育児時短就業給付金の支給対象となりません。◎特別な労働時間制度の適用を受けている場合などの取扱い
①フレックスタイム制の適用を受けている場合
清算期間における総労働時間を短縮して就業するときは、育児時短就業と取り扱います。清算期間における総労働時間は変更せずに、フレキシブルタイムの一部又は全部の勤務を行わないことで、清算期間毎に欠勤控除を受けるときは、育児時短就業と取り扱いません。
②変形労働時間制の適用を受けている場合
対象期間の総労働時間を短縮して就業するときは、育児時短就業と取り扱います。対象期間の総労働時間を変更しないときの対象期間中の1週間の平均労働時間を下回る期間(いわゆる閑散期)は育児時短就業と取り扱いません。
③裁量労働制の適用を受けている場合
みなし労働時間を短縮して就業するときは、育児時短就業と取り扱います。
④いわゆる「シフト制」で就労する場合
実際の労働時間に基づいて1週間当たりの平均労働時間を算定し、短縮が確認できるときは、育児時短就業と取り扱います。
※「シフト制」とは、労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず、一定期間ごとに作成される勤務割や勤務シフトなどにおいて初めて具体的な労働日や労働時間が確定するような形態をいいます。育児時短就業給付金の対象とならないケース
支給対象期間:~支給を受けることができる期間~
育児時短就業給付金は、原則として育児時短就業を開始した日の属する月から育児時短就業を終了した日の属する月までの各暦月について支給します。この各暦月のことを「支給対象月」といいます。例-4:月の途中から育児時短就業を開始・終了した場合
ただし、次の①~④の日の属する月までが支給対象月となります。
①育児時短就業に係る子が2歳に達する日の前日
「子が2歳に達する日」とは、2歳の誕生日の前日をいいます。 ②産前産後休業、育児休業または介護休業を開始した日の前日
③育児時短就業に係る子とは別の子を養育するために育児時短就業を開始した日の前月末日
④子の死亡その他の事由により、子を養育しないこととなった日
「その他の事由」とは、以下の事由をいいます。
・子の離縁又は養子縁組の取消(子が養子の場合)
・子が他の者の養子となったこと等の事情により当該子と同居しなくなったこと
・特別養子縁組の成立の審判が確定することなく終了したこと、または、養子縁組里親である被保険者への委託の措置が解除されたこ
と
・被保険者の疾病・負傷、または身体上・精神上の障害により、子が2歳に達するまでの間、子を養育することができない状態になった
こと例-5:月の途中から別の子について育児時短就業を開始した場合
支給額
(1)支給対象月に支払われた賃金額※1が、育児時短就業開始時賃金月額※2の90%以下の場合育児時短就業給付金の支給額=支
給対象月に支払われた賃金額×10%
(2)支給対象月に支払われた賃金額が、育児時短就業開始時賃金月額の90%超~100%未満の場合育児時短就業給付金の支給額=
支給対象月に支払われた賃金額×調整後の支給率※3
(3)支給対象月に支払われた賃金額と、(1)又は(2)による支給額の合計額が支給限度額※4を超える場合育児時短就業給付金の
支給額=支給限度額-支給対象月に支払われた賃金額
※1:臨時に支払われる賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われる賃金を除いて、当該支給対象月に支払われた賃金をいいます。当
該支給対象月を対象とした賃金であっても、他の月に支払われた賃金は含みません。 また、賃金算定の事由が各月ごとに発生し
本来各月ごとに支払われるべきところ、単に支払事務の便宜等のため数か月分一括して支払われる通勤手当等については、当該賃
金が支払われた以後の各支給対象月に、当該賃金額をその基礎となる月数で除した額が支払われたものとして取り扱います。※2:同一の子に係る最初の育児時短就業開始前直近6か月間(賃金支払基礎日数が11日未満の賃金月は除く。また、当該休業開始前の2
年間に賃金支払基礎日数が11日以上の賃金月が6か月に満たない場合は、賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上である賃
金月)に支払われた賃金(臨時に支払われる賃金と3か月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く)の総額を180で除して得た
額(育児時短就業開始時賃金日額。上限額及び下限額があります。)に30を乗じたものをいいます。
ただし、育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き、同一の子について育児時短就業を開始した場合は、当該育児休業給付
に係る休業開始時賃金日額を育児時短就業開始賃金日額とします。※3:支給対象月に支払われた賃金額が、育児時短就業開始時賃金月額の90%超~100%未満のときは、支給対象月に支払われた賃金額
と支給額の合計が、育児時短就業開始時賃金月額を超えないよう支給率を調整します。このときの支給率は次のとおりです。※4:支給限度額(2025年(令和7年)年7月31日までの額):459,000円
育児時短就業給付金が支給されないケース
育児時短就業給付金は、次の①~③のとおり、育児時短就業の前後で賃金が減少していないと認められる場合や、一定の限度額に該当する場合には、支給されませんのでご注意ください。①支給対象月に支払われた賃金額が、育児時短就業開始時賃金月額の100%以上の場合
支給対象月に支払われた賃金額が、育児時短就業開始時賃金月額の100%以上の場合は、育児時短就業の前後で賃金が減少していないものとして支給されません。②支給対象月に支払われた賃金額が、支給限度額以上の場合
支給対象月に支払われた賃金額が、一定額以上の場合は、給付金が支給されなくなることがあり、このときの基準額を支給限度額といいます。このため、支給対象月に支払われた賃金額が、459,000円(2025(令和7)年7月31日までの額)以上の場合は支給されません。③上記(1)~(3)による支給額が、最低限度額以下のとき
支給限度額とは逆に、算定された支給額が低額の場合は、給付金が支給されなくなることがあり、このときの基準額を最低限度額といいます。このため、上記(1)~(3)によって算定された支給額が、2,295円(2025(令和7)年7月31日までの額)以下の場合は支給されません。詳しくは下記参照先をご覧ください。参照ホームページ [ 厚生労働省 ]https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135090_00001.html
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2025.03.25NEW
セミナー情報:2025年法改正対応!育児介護休業法・助成金セミナー
【内 容・講 師】
■内容
2025年4月と10月に施行される改正育児介護休業法により、企業にはこれまで以上に子育てや介護がしやすい職場環境にしていくことが求められております。
改正により企業が対応しなければならない事項も増えており、就業規則の見直し等を含め、対策をしていかなくてはなりません。そこで、本セミナーでは法改正のポイントを整理してお伝えするとともに、企業に
求められる対応、人事担当者の実務対応を分かりやすく解説致します。
合わせて、育児・介護休業に関する助成金やキャリアアップ促進に役立つ助成金も
ご紹介し、雇用の安定、労働環境の改善につながるよう必要な情報を提供致します。
この機会にぜひお申込みください。■講師 福永 琢弥 氏
加藤労務コンサルティング 助成金チームリーダー【受講対象者】
企業の経営者様、人事労務ご担当者様【日 程】
令和7年4月3日(木)14:00~15:30(受付開始13:30~)【会 場】
高崎市産業創造館 1階 研修室
(高崎市下之城町584-70)【参加費】
無 料【お申込み】
下記FAXでお申し込みをお願い致します。FAX: 027-386-4609
〒370-0075
群馬県高崎市筑縄町22-1 SUビル202 社会保険労務士事務所 加藤労務コンサルティング -
2025.03.13NEW
同一労働同一賃金の施行5年後見直しについて
雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保を実現するために、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)により、同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の実効ある是正を図るための規定の整備が行われました。
働き方改革関連法によるパートタイム労働法・労働者派遣法の改正の概要
1:不合理な待遇差を解消するための規定の整備
・短時間・有期雇用労働者に関する同一企業内における正規雇用労働者との不合理な待遇差の禁止に関し、個々の待遇ごとに、当該待
遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化。(有期雇用労働者を法の対象に含めることに
伴い、題名を改正(「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」))
・有期雇用労働者について、正規雇用労働者と①職務内容、②職務内容・配置の変更範囲が同一である場合の均等待遇の確保を義務化
・派遣労働者について、①派遣先の労働者との均等・均衡待遇、②一定の要件(同種業務の一般の労働者の平均的な賃金と同等以上の
賃金であること等)を満たす労使協定による待遇のいずれかを確保することを義務化
・また、これらの事項に関するガイドラインの根拠規定を整備。
2:労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
・短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明を義務化
3:行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備
・1の義務や2の説明義務について、行政による履行確保措置及び行政ADRを整備。
※施行期日:令和2年4月1日(中小企業におけるパートタイム労働法の改正規定の適用については令和3年4月1日)
パートタイム・有期雇用労働者及び労働者派遣法の5年後の見直しについて
平成30年の働き方改革関連法によって、同一労働同一賃金に係る規定は令和2年4月1日から施行(パートタイム・有期雇用労働法の中小企業への適用は令和3年4月1日)されている。今後、働き方改革関連法における下記の5年後の見直し規定等に従い、必要な見直し検討を行っていく。○働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成三十年法律第七十一号)(抄)附則
(検討)第十二条(略)
2:(略)
3:政府は、前二項に定める事項のほか、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後のそれぞれの法律(以下この項において「改正後の各法律」という。)の規定について、労働者と使用者の協議の促進等を通じて、仕事と生活の調和、労働条件の改善、雇用形態又は就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保その他の労働者の職業生活の充実を図る観点から、改正後の各法律の施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。これまでの政府決定文書①
これまでの政府決定文書②
これまでの政府決定文書③
これまでの政府決定文書④
詳しくは下記参照先をご覧ください。参照ホームページ [ 厚生労働省 ]https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/001390408.pdf
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2025.03.07NEW
「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」の見直しに関する報告書
厚生労働省の「介護休業制度等における『常時介護を必要とする状態に関する判断基準』の見直しに関する研究会」(座長:佐藤博樹東京大学名誉教授)において、見直しに関する報告書が取りまとめられましたので、公表します。
1:現行制度及び見直しの経緯
育児・介護休業法の介護休業等の対象となる「要介護状態」
介護休業等の対象となる「要介護状態」については、「育児・介護休業法」により「負傷、疾病又は身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり、常時介護を必要とする状態」とされています。
また、「常時介護を必要とする状態」については、下記の「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」によるものと整理されています。
常時介護を必要とする状態に関する判断基準(注1)「対象家族」とは、配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母をいうものであり、同居の有無は問わない。
(注2)各項目の1の状態中、「自分で可」には、福祉用具を使ったり、自分の手で支えて自分でできる場合も含む。
(注3)各項目の2の状態中、「見守り等」とは、常時の付き添いの必要がある「見守り」や、認知症高齢者、障害児・者の場合に必要
な行為の「確認」、「指示」、「声かけ」等のことである。
(注4)「①座位保持」の「支えてもらえればできる」には背もたれがあれば一人で座っていることができる場合も含む。
(注5)「④水分・食事摂取の」の「見守り等」には動作を見守ることや、摂取する量の過小・過多の判断を支援する声かけを含む。
(注6)「危険回避ができない」とは、発達障害等を含む精神障害、知的障害などにより危険の認識に欠けることがある障害児・者が、
自発的に危険を回避することができず、見守り等を要する状態をいう。
(注7)⑨3の状態(「物を壊したり衣類を破くことがほとんど毎日ある」)には「自分や他人を傷つけることがときどきある」状態を
含む。
(注8)「⑩認知・行動上の課題」とは、例えば、急な予定の変更や環境の変化が極端に苦手な障害児・者が、周囲のサポートがなけれ
ば日常生活に支障を来す状況(混乱・パニック等や激しいこだわりを持つ場合等)をいう。
(注9)「⑫日常の意思決定」とは、毎日の暮らしにおける活動に関して意思決定ができる能力をいう。
(注 10)慣れ親しんだ日常生活に関する事項(見たいテレビ番組やその日の献立等)に関する意思決定はできるが、本人に関する重要
な決定への合意等(ケアプランの作成への参加、治療方針への合意等)には、支援等を必要とすることをいう。今般の見直しの経緯
育児・介護休業法に基づく介護休業法は、障害等がある子等を持つ労働者も取得可能であるところ、現行の判断基準では、主に高齢者介護を念頭に作成されており、「子に障害のある場合や医療的ケアを必要とする場合には解釈が難しいケースも考え得ることから、早急に見直しの検討が必要」とされました。これを踏まえ、本研究会において、見直しの検討を行いました。
2:見直しにあたっての観点
今回の見直しにあたっては、附帯決議等における指摘事項を踏まえ、障害児や医療的ケア児を育てている当事者団体や、企業実務者からのヒアリングも行った上で
①「子に障害のある場合や医療的ケアを必要とする場合」であっても、要件を満たせば、介護休業等を利用できる旨を明示する。②現行の判断基準のうち、「子に障害のある場合や医療的ケアを必要とする場合」に、解釈が難しい「文言」を特定した上で、表現の適
正化を行う。③障害等による介助の必要性や障害の程度を把握するための「5領域20項目の調査」(障害児通所支援の要否の決定で勘案することとさ
れている調査)や「障害支援区分認定調査表」との関係性を中心に、現行の判断基準では読みにくいケース等の整理を行う等の観点
から検討を行いました。3:新基準について
介護休業は、育児・介護休業法第2条第4号及び則第4条に基づく「対象家族」であって2週間以上の機関にわたり、常時介護を必要とする状態にあるもの(障害児・者や医療的ケア児・者を介護・支援する場合も含む。ただし、乳幼児の通常の成育過程において日常生活上必要な便宜を供与する必要がある場合は含まない)を介護するための休業であることを明示した上で、「常時介護を必要とする状態」については、以下の(1)または(2)のいずれかに該当する場合であることとします。(1)「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」(添付画像)の項目※1①~⑫のうち、状態について2が2つ以上、または3が1
つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること(2)介護保険制度の※2要介護状態区分において、要介護2以上であること
※1:障害児・者や医療的ケア児・者を介護・支援する場合、要介護認定を受けられる年齢(40歳)に達しない場合、介護を受ける家
族が介護保険料制度における要介護認定を既に受けているが、要介護1以下の場合についても、(1)の基準に該当すれば、引き
続き、「常時介護を必要とする状態」に該当すると判断します。※2:介護保険制度の要介護状態区分「要介護2以上」と設定した基準については、今般、見直しは行わない。なお、介護保険制度に
おける要介護認定を既に受けているが、要介護1以下の場合についても、(1)の基準に該当すれば、引き続き、「常時介護を必
要とする状態」に該当すると判断します。4:併せて対応をすべき検討事項について
・今般の判断基準の見直しも踏まえ、「対象家族」には配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母が含まれ、同居の有無
を問わないことや、そもそも介護休業制度では、高齢者のみならず、障害児・者や医療的ケア児・者を介護・支援する場合であって
も判断基準に該当すれば利用できることを、事業者や労働者に対し、広く周知に努めていくべきである。・なお、判断基準は最低基準であり、各事業主における独自の取組として、労働者にとってより緩やかな内容の制度とすることは望ま
しいことについても併せて周知を行うべきである。・また、対象家族のうち、障害児・者や医療的ケア児・者を介護・支援する労働者が、介護休業、介護休暇、短時間勤務の措置等を活
用し、継続就業につながった事例等の集積に努めるとともに、これらの事例等の周知啓発に努めていくべきである。詳しくは下記参照先をご覧ください。参照ホームページ [ 厚生労働省 ]https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/001387433.pdf
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2025.02.07NEW
令和6年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します
厚生労働省では、このたび、令和6年「高年齢者雇用状況等報告」(6月1日現在)の集計結果を取りまとめましたので、公表します。「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では、65歳までの雇用の確保を目的として、「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じるよう、企業に義務付けています。加えて、70歳までの就業機会の確保を目的として、「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」という雇用による措置や、「業務委託契約を締結する制度の導入」、「社会貢献事業に従事できる制度の導入」という雇用以外の措置のいずれかの措置(高年齢者就業確保措置)を講じるように努めることを企業に義務付けています。
【集計結果の主なポイント】※[ ]は対前年差Ⅰ:65歳までの高年齢者雇用確保措置の実施状況
65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%[変動なし]
・中小企業では99.9%[変動なし]、大企業では100.0%[0.1ポイント増加]
・高年齢者雇用確保措置の措置内容別の内訳は
「継続雇用制度の導入」により実施している企業が67.4%[1.8ポイント減少]
「定年の引上げ」により実施している企業は28.7%[1.8ポイント増加]
Ⅱ:70歳までの高年齢者就業確保措置の実施状況
70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は31.9%[2.2ポイント増加]
・中小企業では32.4%[2.1ポイント増加]、大企業では25.5%[2.7ポイント増加]
Ⅲ:企業における定年制の状況
65歳以上定年企業(定年制の廃止企業を含む)は32.6%[1.8ポイント増加]
<集計対象>
■全国の常時雇用する労働者が21人以上の企業237,052社(報告書用紙送付企業数252,058社)
・中小企業(21~300人規模):219,992社
・大企業(301人以上規模):17,060社1:65歳までの高年齢者雇用確保措置の実施状況
(1)65歳までの高年齢者雇用確保措置の実施状況高年齢者雇用確保措置(以下「雇用確保措置」注1という)を実施済みの企業(236,920社)は、報告した企業全体の99.9%[変動なし]で、中小企業では99.9%(注2)[変動なし]、大企業では100.0%[0.1ポイント増加]でした。
(注1):雇用確保措置
高年齢者雇用安定法第9条第1項に基づき、定年を65歳未満に定めている事業主は、雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、以下のいずれかの措置を講じなければなりません。①定年制の廃止 ②定年の引上げ ③※継続雇用制度の導入
※継続雇用制度とは、現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいいます。平成24年度の法改正により、平成25年度以降、制度の適用者は原則として「希望者全員」となりました。平成24年度までに労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた場合、令和7年3月31日までは基準を適用可能(経過措置)。基準を適用できる年齢について、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢以上となるよう、段階的に引き上げており、令和4年4月1日から令和7年3月31日における基準を適用できる年齢は64歳です。
(注2):本集計に係る留意点
本集計は原則小数点第2位以下を四捨五入しているが、それにより0%となる数値については小数点第2位以下を切り上げ、100%となる数値については、小数点第2位以下を切り捨てとしている数値があります。(2)雇用確保措置を実施済みの企業の内訳
雇用確保措置を実施済みの企業(236,920社)について、雇用確保措置の措置内容別に見ると、定年制の廃止(9,247社)は3.9%[変動なし]、定年の引上げ(68,099社)は28.7%[1.8ポイント増加]、継続雇用制度の導入(159,574社)は67.4%[1.8ポイント減少]でした。(3)継続雇用制度の導入により雇用確保措置を講じている企業の状況
継続雇用制度の導入により雇用確保措置を講じている企業(159,574社)を対象に、継続雇用制度の内容を見ると、希望者全員を対象とする継続雇用制度を導入している企業は86.2%[1.6ポイント増加]で、中小企業では87.6%[1.5ポイント増加]、大企業では71.1%[3.0ポイント増加]でした。一方、経過措置に基づき、対象者を限定する基準がある継続雇用制度を導入している企業(経過措置適用企業)は、企業規模計では13.8%[1.6ポイント減少]でしたが、大企業に限ると28.9%[3.0ポイント減少]でした。(参考)経過措置適用企業における基準適用年齢到達者の状況(注3)
上記1(1)の注1に記載する経過措置に基づく対象者を限定する基準がある企業において、過去1年間(令和5年6月1日から令和6年5月31日)に、基準を適用できる年齢(64歳)に到達した者(49,584人)のうち、基準に該当し引き続き継続雇用された者は92.5%[0.3ポイント減少]、継続雇用の更新を希望しなかった者は6.5%[0.3ポイント増加]継続雇用を希望したが基準に該当せずに継続雇用が終了した者は1.1%[0.1ポイント増加]でした。(注3):本集計に係る留意点本集計は、原則小数点第2位以下を四捨五入しているため、内訳の積み上げが100%とはなりません。
2:70歳までの高年齢者就業確保措置の実施状況注4
(1)70歳までの高年齢者就業確保措置の実施状況
高年齢者就業確保措置(以下「就業確保措置」注5という)を実施済みの企業(75,643社)は、報告した企業全体の31.9%[2.2ポイント増加]で、中小企業では32.4%[2.1ポイント増加]、大企業では25.5%[2.7ポイント増加]でした。(2)就業確保措置を実施済みの企業の内訳
就業確保措置を実施済みの企業(75,643社)について措置内容別に見ると、報告した企業全体のうち、定年制の廃止(9,247社)は3.9%[変動なし]、定年の引上げ(5,690社)は2.4%[0.1ポイント増加]、継続雇用制度の導入(60,570社)は25.6%[2.1ポイント増加]、創業支援等措置(注6)の導入(136社)は0.1%[変動なし]でした。(注4):本集計に係る留意点
本集計は、原則小数点第2位以下を四捨五入しているため、内訳の積み上げが就業確保措置実施済み企業の割合に一致しない場合があります。(注5):就業確保措置
高年齢者雇用安定法第10条の2に基づき、定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主または65歳までの継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く)を導入している事業主は、その雇用する高年齢者について、次に掲げるいずれかの措置を講ずることにより、65歳から70歳までの就業を確保するよう努めなければなりません。①定年制の廃止
②定年の引上げ
③継続雇用制度の導入
④業務委託契約を締結する制度の導入
⑤社会貢献事業に従事できる制度の導入
(事業主が自ら実施する社会貢献事業または事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業)(注6):創業支援等措置
注5の就業確保に係る措置のうち、④業務委託契約を締結する制度の導入及び⑤社会貢献事業に従事できる制度の導入という雇用以外の措置を創業支援等措置という3:企業における定年制の状況
報告した企業における定年制の状況について、定年年齢別に見ると次のとおりです。・定年制を廃止している企業(9,247社)は3.9%[変動なし]
・定年を60歳とする企業(152,776社)は64.4%[2.0ポイント減少]
・定年を61~64歳とする企業(6,930社)は2.9%[0.2ポイント増加]
・定年を65歳とする企業(59,693社)は25.2%[1.7ポイント増加]
・定年を66~69歳とする企業(2,716社)は1.1%[変動なし]
・定年を70歳以上とする企業(5,690社)は2.4%[0.1ポイント増加]詳しくは下記参照先をご覧ください。参照ホームページ [ 厚生労働省 ]https://www.mhlw.go.jp/content/11703000/001357147.pdf