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2024.06.12
育児・介護休業法について令和6年改正法解説資料が公表
厚生労働省の育児・介護休業法についての専用ページにおいて、「育児・介護休業法が改正されました~令和7年4月1日から段階的に施行~」として、令和6年改正法解説資料が紹介されています。以下が改正内容の主なポイントになります。※詳細は今後省令等で定められます。
■育児・介護休業法の改正ポイント
【①柔軟な働き方を実現するための措置等が事業主の義務になります】
施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日
●3歳以上、小学校就学前の子を養育する労働者に関する柔軟な働き方を実現するための措置
●事業主が選択した措置について、労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
・労働者は、事業主が講じた措置の中から1つを選択して利用することができます。
・事業主が措置を選択する際、過半数組合等からの意見聴取の機会を設ける必要があります。
・個別周知・意向確認の方法は、今後、省令により、面談や書面交付等とされる予定です。【②所定外労働の制限(残業免除)の対象が拡大されます】
施行日:令和7年4月1日

【③育児のためのテレワークの導入が努力義務化されます】
施行日:令和7年4月1日
●3歳に満たない子を養育する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化されます。【④子の看護休暇が見直されます】
施行日:令和7年4月1日

【⑤仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮が事業主の義務になります】
施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日
●妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮が事業主に義務づけられます。・意向聴取の方法は、省令により、面談や書面の交付等とする予定です。
・具体的な配慮の例として、自社の状況に応じて、勤務時間帯・勤務地にかかる配置、業務量の調整、両立支援制度の利用期間等の見直し、労働条件の見直し等を指針で示す予定です。
さらに、配慮に当たって、望ましい対応として、
*子に障害がある場合等で希望するときは、短時間勤務制度や子の看護等休暇等の利用可能期間を延長すること
*ひとり親家庭の場合で希望するときは、子の看護等休暇等の付与日数に配慮すること等を指針で示す予定です。【⑥育児休業取得状況の公表義務が300人超の企業に拡大されます】
施行日:令和7年4月1日●従業員数300人超の企業に、育児休業等の取得の状況を公表することが義務付けられます。(現行では、従業員数1,000人超の企業に公表が義務付けられています。)
・公表内容は、公表を行う日の属する事業年度の直前の事業年度(公表前事業年度)における次の①または②のいずれかの割合を指します。

【⑦介護離職防止のための個別の周知・意向確認、雇用環境整備等の措置が事業主の義務になります】
施行日:令和7年4月1日
●介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
(面談・書面交付等による。詳細は省令。)
●介護に直面する前の早い段階(40歳等)での両立支援制度等に関する情報提供
●仕事と介護の両立支援制度を利用しやすい雇用環境の整備
(※研修、相談窓口設置等のいずれかを選択して措置。詳細は省令。)
●要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるよう事業主に努力義務
●介護休暇について、引き続き雇用された期間が6か月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止■次世代育成支援対策推進法の改正ポイント
【①法律の有効期限が延長されました】
施行日:公布の日(令和6年5月31日)
令和7年(2025年)3月31日までとなっていた法律の有効期限が、令和17年(2035年)3月31日までに延長されました。
・法律の期限延長にともない、くるみん認定制度も継続されますが、今後、省令により認定基準の一部を見直すこととしています。【②育児休業取得等に関する状況把握・数値目標設定が義務付けられます】
施行日:令和7年4月1日
従業員数100人超の企業は、一般事業主行動計画策定時に次のことが義務付けられます。(従業員数100人以下の企業は、努力義務の対象です。)
●計画策定時の育児休業取得状況1や労働時間の状況2把握等
(PDCAサイクルの実施)
●育児休業取得状況(※1)や労働時間の状況(※2)に関する数値目標の設定
(※1)省令により、男性の育児休業等取得率とする予定です。
(※2)省令により、フルタイム労働者1人当たりの各月ごとの時間外労働及び休日労働の合計時間数等とする予定です。・一般事業主行動計画の内容を変更しようとする場合も同様に状況把握、数値目標の設定を行う必要があります。
・施行日以降に開始(又は内容変更)する行動計画から義務の対象となります。詳しくは下記参照先をご覧ください。
- 参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
- https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000788616.pdf
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2024.06.11
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2024.06.05
令和6年雇用保険制度の改正内容について
令和6年5月10日に成立しました「雇用保険法等の一部を改正する法律」について、雇用保険制度の改正内容を含んだ、改正内容全般の資料が公表されています。主要な改正項目ごとの説明も行われていますので、是非ご確認ください。
【雇用保険法等の一部を改正する法律の概要】
<改正の趣旨>
多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築、「人への投資」の強化等のため、雇用保険の対象拡大、教育訓練やリ・スキリング支援の充実、育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保等の措置を講ずる。<改正の概要>
1:雇用保険の適用拡大【雇用保険法、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律】
○雇用保険の被保険者の要件のうち、週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に変更し、適用対象を拡大する(※1)。
※1これにより雇用保険の被保険者及び受給資格者となる者については、求職者支援制度の支援対象から除外しない。2:教育訓練やリ・スキリング支援の充実【雇用保険法、特別会計に関する法律】
①自己都合で退職した者が、雇用の安定・就職の促進に必要な職業に関する教育訓練等を自ら受けた場合には、給付制限をせず、雇用保険の基本手当を受給できるようにする(※2)。
※2自己都合で退職した者については、給付制限期間を原則2か月としているが、1か月に短縮する通達。②教育訓練給付金について、訓練効果を高めるためのインセンティブ強化のため、雇用保険から支給される給付率を受講費用の最大70%から80%に引き上げる(※3)。
※3教育訓練受講による賃金増加や資格取得等を要件とした追加給付10を新たに創設する省令。③自発的な能力開発のため、被保険者が在職中に教育訓練のための休暇を取得した場合に、その期間中の生活を支えるため、基本手当に相当する新たな給付金を創設する。
3:育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保【雇用保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律】
①育児休業給付の国庫負担の引下げの暫定措置(※4)を廃止する。
※4本来は給付費の1/8だが、暫定措置で1/80とされている。②育児休業給付の保険料率を引き上げつつ(0.4%→0.5%)、保険財政の状況に応じて引き下げ(0.5%→0.4%)られるようにする(※5)。
※5①・②により、当面の保険料率は現行の0.4%に据え置きつつ、今後の保険財政の悪化に備えて、実際の料率は保険財政の状況に応じて弾力的に調整。4:その他雇用保険制度の見直し【雇用保険法】
○教育訓練支援給付金の給付率の引下げ基本手当の(80%→60%)及びその暫定措置の令和8年度末までの継続、介護休業給付に係る国庫負担引下げ等の暫定措置の令和8年度末までの継続、就業促進手当の所要の見直し等を実施する。<施行期日>
令和7年4月1日ただし、3①及び4の一部は公布日、2②は令和6年10月1日、2③は令和7年10月1日、1は令和10年10月1日■雇用保険の適用拡大【雇用保険法等の一部を改正する法律案】
【現状・課題】
○雇用労働者の中で働き方や生計維持の在り方の多様化が進展していることを踏まえ、雇用のセーフティネットを拡げる必要がある。【見直し内容】
○雇用保険の被保険者の要件のうち、週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に変更し、適用対象を拡大。
(R4年度末時点の被保険者数は約4,457万人)
※給付は別基準とするのではなく、現行の被保険者と同様に、基本手当、教育訓練給付、育児休業給付等を支給。<施行期日>
2028(令和10)年10月1日


■自己都合離職者の給付制限の見直し【雇用保険法等の一部を改正する法律案】
【現状・課題】
○自己都合離職者に対しては、失業給付(基本手当)の受給に当たって、待期満了の翌日から原則2ヶ月間(5年以内に2回を超える場合は3ヶ月)の給付制限期間がある。
※ただし、ハローワークの受講指示を受けて公共職業訓練等を受講した場合、給付制限が解除される。
○労働者が安心して再就職活動を行えるようにする観点等を踏まえ、給付制限期間を見直す必要がある。【見直し内容】
○離職期間中や離職日前1年以内に、自ら雇用の安定及び就職の促進に資する教育訓練を行った場合には、給付制限を解除。
※このほか、通達の改正により、原則の給付制限期間を2ヶ月から1ヶ月へ短縮する。ただし、5年間で3回以上の自己都合離職の場合には給付
制限期間を3ヶ月とする。<施行期日>
2025(令和7)年4月1日

■教育訓練給付の拡充【雇用保険法等の一部を改正する法律案】
【現状・課題】
○厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講・修了した場合にその費用の一部を支給すること(教育訓練給付)を通じて、労働者の学び直し等を支援している。
○個人の主体的なリ・スキリング等への直接支援をより一層、強化、推進するとともに、その教育訓練の効果(賃金上昇や再就職等)を高めていく必要がある。【見直し内容】
○教育訓練給付金の給付率の上限を受講費用の70%から80%に引き上げる。【法律事項】
・専門実践教育訓練給付金中長期的キャリア形成に資する専門的・実践的な教育訓練講座を対象)について、教育訓練の受講後に賃金が上昇した場合、現行の追加給付に加えて、更に受講費用の10%(合計80%)を追加で支給する。【省令】
・特定一般教育訓練給付金(速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練講座を対象)について、資格取得し、就職等した場合、受講費用の10%(合計50%)を追加で支給する。【省令】<施行期日>
2024(令和6)年10月1日

■教育訓練中の生活を支えるための給付の創設【雇用保険法等の一部を改正する法律案】
【現状・課題】
○労働者が自発的に、教育訓練に専念するために仕事から離れる場合に、その訓練期間中の生活費を支援する仕組みがない。
○労働者の主体的な能力開発をより一層支援する観点からは、離職者等を含め、労働者が生活費等への不安なく教育訓練に専念できるようにする必要がある。【見直し内容】
○雇用保険被保険者が教育訓練を受けるための休暇を取得した場合に、基本手当に相当する給付として、賃金の一定割合を支給する教育訓練休暇給付金を創設する。<施行期日>
2025(令和7)年10月1日
※上記のほか、雇用保険被保険者以外の者を対象に、教育訓練費用と生活費を融資対象とする新たな融資制度を創設予定。【省令】■育児休業給付を支える財政基盤の強化【雇用保険法等の一部を改正する法律案】
【現状・課題】
○育児休業給付については、育児休業の取得者数増等を背景に、支給額は年々増加しており、財政基盤の強化が急務。
(現在の国庫負担割合:本則1/8のところ暫定措置として1/80、現在の保険料率:0.4%)【見直し内容】
○男性育休の大幅な取得増等に対応できるよう、育児休業給付を支える財政基盤を強化するため、令和4年雇用保険法改正法の附則の規定を踏まえ、
①令和6年度から、国庫負担割合を現行の1/80から本則の1/8に引き上げる
②当面の保険料率は現行の0.4%に据え置きつつ、今後の保険財政の悪化に備えて、本則料率を令和7年度から0.5%に引き上げる改正を行うとともに、実際の料率は保険財政の状況に応じて弾力的に調整する仕組み(注)を導入する
(注)
前年度の決算を踏まえた該当年度の積立金残高(見込み)と翌年度の収入(見込み)の合計額が、翌年度の支出(見込み)の1.2倍を超える場合は、翌年度の料率を0.4%とすることができることとする。<施行期日>
①公布日又は2024(令和6)年4月1日のいずれか遅い方、②2025(令和7)年4月1日■その他(令和6年度末までの暫定措置)【雇用保険法等の一部を改正する法律案】
【現状・課題】
○雇止めによる離職者の基本手当の給付日数に係る特例、地域延長給付(雇用機会が不足する地域における給付日数の延長)、教育訓練支援給付金(45才未満の者に基本手当の80%を訓練受講中に支給)は、令和6年度末までの暫定措置とされている。
○暫定措置の在り方について、検討する必要がある。【見直し内容】
○雇止めによる離職者の基本手当の給付日数に係る特例、地域延長給付を2年間延長する。
○教育訓練支援給付金の給付率を基本手当の60とした上で、2年間延長する。
※そのほか介護休業給付に係る国庫負担割合を1/80(本則1/8)とする暫定措置を2年間延長する。<施行期日>
2025(令和7)年4月1日

■その他(就業促進手当)【雇用保険法等の一部を改正する法律案】
【現状・課題】
○安定した職業以外の職業に早期再就職した場合の手当として就業手当が、早期再就職し、離職前の賃金から再就職後賃金が低下していた場合に低下した賃金の6か月分を支給する手当として就業促進定着手当が設けられている。
○支給実績や人手不足の状況等を踏まえた各手当の在り方について、検討する必要がある。【見直し内容】
○就業手当を廃止するとともに、就業促進定着手当の上限を支給残日数の20%に引き下げる。<施行期日>
2025(令和7)年4月1日

詳しくは下記参照先をご覧ください。
- 参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
- https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40264.html
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2024.05.22
雇用保険の適用拡大などを盛り込んだ「雇用保険法等の一部を改正する法律」が成立
雇用保険の適用拡大などを盛り込んだ「雇用保険法等の一部を改正する法律」が、令和6年5月10日の参議院本会議で可決・成立しました。この改正法により、多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築、「人への投資」の強化等のため、雇用保険の対象拡大、教育訓練やリ・スキリング支援の充実、育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保等の措置を講ずることとしています。施行期日は、基本的には、令和7年4月1日ですが、公布日から、数段階に分けて施行されます。
たとえば、最も注目を集めている「雇用保険の適用拡大(雇用保険の被保険者の要件のうち、週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に変更し、適用対象を拡大する)」については、令和10年10月1日から施行されることになっています。
■雇用保険法等の一部を改正する法律案の概要
【改正の趣旨】
多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築、「人への投資」の強化等のため、雇用保険の対象拡大、教育訓練やリ・スキリング支援の充実、育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保等の措置を講ずる。【改正の概要】
1.雇用保険の適用拡大【雇用保険法、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律】
○雇用保険の被保険者の要件のうち、週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に変更し、適用対象を拡大する(※1)。※1これにより雇用保険の被保険者及び受給資格者となる者については、求職者支援制度の支援対象から除外しない。
2.教育訓練やリ・スキリング支援の充実【雇用保険法、特別会計に関する法律】
①自己都合で退職した者が、雇用の安定・就職の促進に必要な職業に関する教育訓練等を自ら受けた場合には、給付制限をせず、雇用保険の基本手当を受給できるようにする(※2)。※2自己都合で退職した者については、給付制限期間を原則2か月としているが、1か月に短縮する(通達)。
②教育訓練給付金について、訓練効果を高めるためのインセンティブ強化のため、雇用保険から支給される給付率を受講費用の最大70%から80%に引き上げる(※3)。
※3教育訓練受講による賃金増加や資格取得等を要件とした追加給付(10%)を新たに創設する(省令)。
③自発的な能力開発のため、被保険者が在職中に教育訓練のための休暇を取得した場合に、その期間中の生活を支えるため、基本手当に相当する新たな給付金を創設する。
3.育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保【雇用保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律】
①育児休業給付の国庫負担の引下げの暫定措置(※4)を廃止する。※4本来は給付費の1/8だが、暫定措置で1/80とされている。
②育児休業給付の保険料率を引き上げつつ(0.4%→0.5%)、保険財政の状況に応じて引き下げ(0.5%→0.4%)られるようにする(※5)。
※5①・②により、当面の保険料率は現行の0.4%に据え置きつつ、今後の保険財政の悪化に備えて、実際の料率は保険財政の状況に応じて弾力的に調整。
4.その他雇用保険制度の見直し【雇用保険法】
○教育訓練支援給付金の給付率の引下げ(基本手当の80%→60%)及びその暫定措置の令和8年度末までの継続、介護休業給付に係る国庫負担引下げ等の暫定措置の令和8年度末までの継続、就業促進手当の所要の見直し等を実施する。【施行期日】
令和7年4月1日(ただし、3①及び4の一部は公布日、2②は令和6年10月1日、2③は令和7年10月1日、1は令和10年10月1日)<雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付):本会議投票結果:参議院>
https://www.sangiin.go.jp/japanese//touhyoulist/213/213-0510-v002.htm<議案名「雇用保険法等の一部を改正する法律案」の審議経過情報:衆議院>
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DDB68E.htm法案の内容はこちらです。
<雇用保険法等の一部を改正する法律案(令和6年2月9日提出)(厚労省)(この案のとおりに成立)>
概要:https://www.mhlw.go.jp/content/001207213.pdf法律案要綱:https://www.mhlw.go.jp/content/001207214.pdf
法律案新旧対照条文:https://www.mhlw.go.jp/content/001207217.pdf
詳しくは下記参照先をご覧ください。
- 参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
- https://www.mhlw.go.jp/content/001207214.pdf
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2024.05.22
2024年版中小企業白書・小規模企業白書が閣議決定
令和5年度中小企業の動向」及び「令和6年度中小企業施策」(中小企業白書)、並びに「令和5年度小規模企業の動向」及び「令和6年度小規模企業施策」(小規模企業白書)が、令和6年5月10日、閣議決定されました。
これらの白書では、中小企業・小規模事業者の現状と直面する課題、今後の展望として、中小企業が環境変化を乗り越え、経営資源を確保して生産性の向上に繋げていくための取組や、成長につながり得る投資行動とそのための資金調達、小規模事業者が売上げを確保し、今後も事業を持続的に発展させていくために必要となる取組、事業の継続に欠かせない資金と人手を確保する取組、支援機関の役割と体制の強化について、分析が行われています。
■2024年版中小企業白書・小規模企業白書のポイント
【中小企業・小規模事業者の動向】
事業者が直面している課題として、売上高が新型コロナウイルス感染症による落ち込みから回復し、企業の人手不足が深刻化していることが挙げられる。今後の展望として、就業者数の増加が見込めない中で、日本の国際競争力を維持するためには、省力化投資や単価の引上げを通じて、中小企業の生産性を向上させていくことが期待される。【中小企業白書】
成長する中小企業の行動を分析すると、企業の成長には、人への投資、設備投資、M&A、研究開発投資といった投資行動が有効である。また、成長投資に伴う資金調達手段の検討も必要である。【小規模企業白書】
小規模事業者は、中小企業と比べ厳しい経営環境にある中で、コストを把握した適正な価格の設定や、顧客ターゲットの明確化に取り組むことで、売上高の増加につながることが期待できるほか、支援機関の活用も効果的である。また、新たな担い手の参入も生産性向上の効果が期待できる。■2024年版中小企業白書・小規模企業白書概要
以下に目次とトピックを抜粋してご紹介いたします。【目次】
第1部中小企業・小規模事業者の動向
【テーマ①】令和6年能登半島地震と中小企業のBCP策定の状況
①2024年1月に能登半島地震が発生し、広い範囲にわたって建物や設備の損傷等の被害が多数発生。被害の大きな能登半島6市町は、被災以前から生産年齢人口の割合が低い状況。
②災害への備えとして、BCPの策定を行うことが重要。BCPを策定する企業は増加傾向にある。【テーマ②】新型コロナウイルス感染症の影響と対応
①2020年以降の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、政府は緊急事態宣言等による休業要請又は営業時間短縮要請を実施。その影響を受ける事業者に対しては、事業の継続や雇用の維持に向けた緊急的な支援策を実施し、失業率や倒産件数は比較的低い水準で推移。
②その後、各種措置の終了に伴い、倒産件数は増加に転じたものの、失業率は低水準が継続。【テーマ③】中小企業の業況と経営課題
①2023年は、年末にかけて売上げの好転に一服感が見られたものの、中小企業の業況判断DIは高水準で推移し、経済の状況が全体として改善する基調が継続した。
②中小企業の経営課題の内訳を見ると、売上不振のほか、原材料高や求人難の割合が高い状況。【テーマ④】人手不足
①売上高が感染症の落ち込みから回復する中で、人手不足が深刻化。
②これまでは、生産年齢人口の現象を補う形で女性・高齢者の就業が進んできたが、足下は就業者数の増加が頭打ちとなり、人材の供給制約に直面。【テーマ⑤】賃上げ
①物価に見合った賃金の引上げを通じて、需要の拡大につなげる好循環を実現することが重要。
②春闘の賃上げ率・最低賃金の改定率は過去最高水準。一方で、人確保の必要性や物動向を背景に、賃上げの原資となる業績の改善が見られない中で、賃上げを行う企業が増加。【テーマ⑥】省力化投資と生産性の向上
①人手不足への対応策として、採用等の人材確保に加えて省力化に向けた設備投資も必要であるが、規模の小さな企業ほど省力化投資が進んでおらず、省力化の取組余地が大きい。
②また、省力化投資は人手不足緩和だけでなく売上高増加にもつながることが期待される。【テーマ⑦】海外需要と日本企業の決算状況
【テーマ⑧】価格転嫁
①賃上げ原資の確保に向けては、価格転嫁の促進が重要。価格交渉が可能な取引環境が醸成されつつあるが、コスト増加分を十分に転嫁できておらず、転嫁率向上のための取組強化が課題。
②十分な価格転嫁のためには、適切な価格交渉が重要。価格転嫁に関する協議の実施とともに、商品・製品の原価構成を把握して交渉を進めることが有効。【テーマ⑨】事業承継
①足下では経営者年齢の分布が平準化しつつあるものの、半数近くの中小企業で後継者が不在。
②一方、後継者が決まっている中小企業においても、承継の課題を抱えている企業が見られる。【テーマ⑩】経営改善・再生支援
①感染症の感染拡大以降、経営改善・再生支援のニーズが高まっている。
②金融機関の経営支援により、財務内容の改善等の効果が期待できる。経営改善・再生支援の効果を高めるためには、関係機関が一丸となって経営改善・再生支援に取り組むことが求められる。
第2部(中小企業白書・小規模企業白書別分析)
中小企業白書 環境変化に対応する中小企業
【テーマ⑪】中小企業の成長
①足下では、約9割の中小企業が投資行動に意欲的な経営方針を示している。挑戦意欲のある中小企業は、域内経済の牽引や外需獲得に貢献し、上げを可能にする持続的な利益を生み出すような企業へ成長することが期待される。こうした投資行動に意欲的な企業は、日本経済全体の生産性向上の観点からもプラスの効果があるものと考えられる。
②今は投資行動に積極的でない中小企業も一定数見られるが、刻々と変化する外部環境に対応するためには、小さな取組でも行動していく姿勢が、経営にとっても良い効果を与えるものと考えられる。【テーマ⑫】中小企業の成長投資
①企業の成長には、人への投資(人材育成の取組等)のほかにも、設備投資、M&A、研究開発投資といった投資行動が有効である可能性がある。
②成長に向けては、必要な経営資源を確保し、外部の市場環境にも目を向けながら、自社にとって最適な成長投資を検討していく戦略が求められる。【テーマ⑬】中小企業の成長投資のための資金調達
①成長投資のための資金調達手段として、エクイティ・ファイナンスは、定期的な償還が不要であり、成長に向けて経営・事業面の様々な支援を受けられるといった効果がある。
②エクイティ・ファイナンスの活用に当たっては、ガバナンスの構築・強化を通じた組織的な経営の仕組みを適切に導入することが求められる。【テーマ⑭】中小企業の成長に向けたM&A
小規模企業白書 経営課題に立ち向かう小規模事業者
【テーマ⑮】小規模事業者の経営課題
①小規模事業者は、中小企業と比べて売上不振の割合が高く、厳しい経営環境にある。
②特に小規模事業者は販路開拓や人手不足、資金繰り等の経営課題を重視する傾向にあり、これらの課題に対応しながら、売上げを確保し事業を持続的に発展させていくことが重要。【テーマ⑯】小規模事業者の売上げの確保
①コストを把握した適正な価格の設定や、顧客ターゲットの明確化を行った上で新規顧客の得に取り組むことで、売上高の増加につながることが期待される。【テーマ⑰】起業・創業による新たな担い手
①創業にチャレンジしやすい環境の中で、起業・創業により新しい事業者が生まれ、新たな担い手が参入することも重要である。
②こうした新たな担い手の参入は、労働生産性の向上につながる可能性がある。中小企業白書・小規模企業白書 中小企業・小規模事業者を支える支援機関
【テーマ⑱】中小企業・小規模事業者を支える支援機関
①支援機関の活用効果は高く、支援機関は地域の中小企業にとって重要な存在。
②支援機関の活用が広がり、相談内容が高度化する中で、支援機関の人員不足や支援ノウハウ・知見の不足が顕在化。他の機関との連携も含め、支援体制の強化が必要。【参考事例集】
【参考事例①】新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えた取組
【参考事例②】経営環境の変化に対応する取組
【参考事例③】事業承継と事業承継を支える取組
【参考事例④】省力化投資と人への投資の取組
【参考事例⑤】成長に向けた投資行動の取組
【参考事例⑥】売上げの確保と地域の経済・文化を支える取組
【参考事例⑦】支援機関の支援能力向上に向けた取組詳しくは下記参照先をご覧ください。
- 参照ホームページ [ 経済産業省 ]
- https://www.meti.go.jp/press/2024/05/20240510002/20240510002.html







※上記のほか、雇用保険被保険者以外の者を対象に、教育訓練費用と生活費を融資対象とする新たな融資制度を創設予定。【省令】
