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2019.02.15
同一労働同一賃金に関する新たなリーフレットを公表
厚生労働省から、リーフレット「パートタイム・有期雇用労働法が施行されます」等が公表されています。「パートタイム・有期雇用労働法」は、現行のパートタイム労働法の名称を改めたものです。働き方改革関連法による法改正によって、パートタイム労働法の対象に有期雇用労働者も含めることとし、そのような名称に変更されることになりました。
これは、同一労働同一賃金の実現に向けた法改正の一環であり、その施行は、2020年4月1日(中小企業では1年遅れの適用)とされています。この法改正に対応するための自社の制度の整備には、相当な時間を要することが予想されますので、これらのリーフレットなども参考にして、準備を進めてはいかがでしょうか。■正社員と非正規社員の間の不合理な待遇さが禁止されます
同一企業内における正社員(無期雇用フルタイム労働者)と非正規社員の間の不合理な待遇の差をなくし、どのような雇用形態を選択しても待遇に納得して働き続けることができるよう、パートタイム・有期雇用労働法※1や施行規則、同一労働同一賃金ガイドライン(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止に等に関する指針)、パートタイム・有期雇用労働指針が2020年4月1日より施行されます。(中小企業におけるパートタイム・有期雇用労働法の適用は、2021年4月1日)
※1 パートタイム労働者だけでなく、有期雇用労働者も法の対象に含まれることになりました。法律の名称も、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」から「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(いわゆる「パートタイム・有期雇用労働法」)に変わります。
■改正のポイント
非正規社員(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者※2)について、以下の1~3を統一的に整備します。
1 不合理な待遇差の禁止
同一企業内において、正社員と非正規社員との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止されます。
ガイドライン(指針)において、どのような待遇差が不合理に当たるかを例示します。2 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
非正規社員は、「正社員との待遇差の内容や理由」などについて、事業主に説明を求めることができるようになります。
事業主は、非正規社員から求めがあった場合は、説明をしなければなりません。3 行政による事業者への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR)※3の整備
都道府県労働局において、無料・非公開の紛争解決手続きを行います。
「均衡待遇」や「待遇差の内容・理由」に関する説明についても、行政ADRの対象となります。
※2 派遣労働者についても、改正後の労働者派遣法により、上記1~3が整備されます。
※3 事業者と労働者との間の紛争を、裁判せずに解決する手続きのことをいいます。<リーフレット 「パートタイム・有期雇用労働法が施行されます」>
https://www.mhlw.go.jp/content/000471837.pdf
<パンフレット「平成30年度労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>>
https://www.mhlw.go.jp/content/000473039.pdf
<リーフレット「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」【省令・指針反映版】>
https://www.mhlw.go.jp/content/000474490.pdf
〔参考〕「パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書」
・閲覧用ファイル
https://www.mhlw.go.jp/content/000468444.pdf
・印刷用ファイル
https://www.mhlw.go.jp/content/000467476.pdf詳しくは下記参照先をご覧ください。
- 参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
- https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html
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2019.02.15
厚生労働省 時間外労働の上限規制・年休の時季指定義務に関するわかりやすい解説を公表
厚生労働省から、「時間外労働の上限規制わかりやすい解説」および「年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説」が公表されました。時間外労働の上限規制は、大企業では2019(平成31)年4月から、中小企業では2020(平成32)年4月から導入されます。年5日の年次有給休暇の確実な取得(年休の時季指定義務)の制度は、企業規模にかかわらず、2019(平成31)年4月から導入されます。導入が近づいてきたということで作成・公表されたのが、これらの解説です。
いずれの解説も、「法令解説編」と「実務対応編」とに分けて解説がまとめられています。さらに、いずれの解説においても「Q&A」が用意されています。”法令の内容はもう知っている”という方も、「実務対応編」と「Q&A」はチェックしてみてはいかがでしょうか。<外労働の上限規制わかりやすい解説>
<時間外労働の上限規制わかりやすい解説>
https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf■Q&A(一部抜粋)
Q:施行前(大企業は2019年3月31日まで、中小企業は2020年3月31日まで)と施行後(同年4月1日以後)にまたがる期間の36協定を締結している場合には、4月1日開始の協定を締結し直さなければならないのでしょうか。
A:改正法の施行に当たっては、経過措置が設けられています。この経過措置によって、施行前と施行後に跨がる期間の36協定を締結している場合には、その協定の初日から1年間に限っては、その協定は有効となります。したがって、4月1日開始の協定を締結し直す必要はなく、その協定の初日から1年経過後に新たに定める協定から、上限規制に対応していただくこととなります。
Q:時間外労働と休日労働の合計が、2~6か月間のいずれの平均でも月80時間以内とされていますが、この2~6か月は、36協定の対象期間となる1年間についてのみ計算すればよいのでしょうか。
A:時間外労働と休日労働の合計時間について2~6か月の平均で80時間以内とする規制については、36協定の対象期間にかかわらず計算する必要があります。なお、上限規制が適用される前の36協定の対象期間については計算する必要はありません。
<年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説>
https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf■Q&A(一部抜粋)
Q:2019年4月より前(例えば2019年1月)に10日以上の年次有給休暇を付与している場合には、そのうち5日分について、2019年4月以後に年5日確実に取得させる必要がありますか。
A:改正法が施行される2019年4月1日以後、最初に年10日以上の年次有給休暇を付与する日(基準日)から、年5日確実に取得させる必要があります。よって、2019年4月より前に年次有給休暇を付与している場合は、使用者に時季指定義務が発生しないため、年5日確実に取得させなくとも、法違反とはなりません。
Q:パートタイム労働者など、所定労働日数が少ない労働者であって、1年以内に付与される年次有給休暇の日数が10日未満の者について、前年度から繰り越した日数を含めると10日以上となっている場合、年5日確実に取得させる義務の対象となるのでしょうか。
A:対象とはなりません。前年度から繰り越した年次有給休暇の日数は含まず、当年度に付与される法定の年次有給休暇の日数が10日以上である労働者が義務の対象となります。
詳しくは下記参照先をご覧ください。
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2019.01.15
「勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会」の報告書を公表
厚生労働省の「勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会」は、このたび、勤務間インターバル制度の普及促進に向けた報告書をまとめ公表しています。この検討会は、平成29年3月28日の第10回働き方改革実現会議で決定した「働き方改革実行計画」の中で、「制度の普及促進に向けて、政府は労使関係者を含む有識者検討会を立ち上げる」ことが盛り込まれたことを踏まえ、開催されたものです。 検討会は、平成29年5月から平成30年12月までに5回にわたり行われ、その中で、勤務間インターバル制度の導入メリットや課題、普及に向けた取組などについて検討をしました。
厚生労働省は、この報告書の活用を図りながら、働き方改革関連法の周知と併せて、勤務間インターバル制度の普及に取り組んでいくとのことです。
【報告書のポイント】
■検討に当たっての背景等
勤務間インターバル制度は、終業時刻から次の始業時刻の間に、一定時間の休息を設定するもの
・勤務間インターバルは、十分な睡眠時間や生活時間の確保に資するもの
・睡眠時間の多寡が健康状況や作業能力に影響を及ぼすとの研究報告
・法令等の整備(制度導入を事業主の努力義務として規定)
→制度導入の企業割合は1.8%と低調(「平成30年就労条件総合調査」(厚生労働省))【出典:厚生労働省 勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会報告書概要より】■導入によるメリット
・健康維持に向けた睡眠時間の確保につながる
・生活時間の確保によりワーク・ライフ・バランスの実現に資する
・魅力ある職場づくりにより人材確保・定着につながる
・企業の利益率や生産性を高める可能性が考えられる■普及に向けた課題
・制度の認知度が低い
・制度導入の手順が分からない
・就業規則の整備等に係る経費負担
・突発的な業務が発生した際の代替要員の確保■普及に向けた取組
・導入事例集を活用し、行政機関はもとより地域の関係団体等と連携して制度の周知を行う
・制度導入の手順をまとめた「導入に向けたポイント」を参考に、更なる導入促進を図る
・助成金による導入支援を引き続き行うとともに、労務管理の専門家による相談支援を実施する
・関係省庁が連携を図りながら、取引環境の改善に向けた取組を一層推進する制度導入に当たっては、導入事例(20の導入企業例を掲載)等を参考にしつつ、事業場ごとの事情を踏まえて検討してみましょう。
労使での話合いは検討の各ステップで重要です。【出典:厚生労働省 勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会報告書概要より】【各ステップにおける主な検討項目と留意事項】
・ 制度導入の検討・・・導入の目的、労使間の話合いの機会の整備
・ 制度設計の検討・・・対象者、休息時間数、休息時間が次の勤務時間に及ぶ場合の勤務時間の取扱い、適用除外、時間管理の方法
・ 試行期間 ・・・・・制度の効果を検証
・ 検証・見直し ・・・問題の洗い出し、必要な見直し
・ 本格稼働 ・・・・・就業規則等の整備、一定期間後の見直し詳しくは下記参照先をご覧ください。
- 参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
- https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02924.html
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2019.01.15
働き方改革に対する中小企業・小規模事業者の声と取引環境の改善事例等
首相官邸において行われた「第6回中小企業・小規模事業者の長時間労働是正・生産性向上と人材確保に関するワーキンググループ」において、働き方改革に対する中小企業・小規模事業者の声や、労働基準監督署で把握した働き方改革を阻害する取引環境の改善事例等が紹介されています。同ワーキンググループは、中小・小規模事業者の長時間労働是正や生産性向上、人材確保の取組等について、省庁横断的に必要な検討を行うため、平成29年9月1日に設置されたものです。
■中小企業・小規模事業者の声
【周知】
○ 様々な改正がある中で、まずは何から取り組んだら良いか、優先事項と手順を教えて欲しい。
○ 取組内容の実例提示に加えて、それらの中から自社にあった取組は何であるか教えて欲しい。【36協定・就業規則】
○ この機会に年休や時間外労働に関する社内規定を整備したい。ノウハウがないので基礎から教えて欲しい。【年次有給休暇】
○ 客先常駐で仕事を行っており、客先によっては有給休暇が取得しづらいところもある。しかし、今回の法改正により年5日の有給を与える必要が法律で明記されたため、これを理由に客先に有給休暇取得の理解を求めやすくなった。【人手不足】
○ 新卒、パートともに人材がとれない。労務管理の工夫や使える助成金についてのアドバイスが欲しい。
○ 働き方改革については、取り組まないと採用できない、生き残れない、と感じている。【長時間労働】
○ 人手不足の中、受注増加に残業で対応しており、削減に取り組める余裕がない。
○ これまで時短に関心のなかった社長や営業部署が、「働き方改革」と言えば耳を傾けるようになったので、総務担当としては時短が進めやすくなり、ありがたい。【同一労働同一賃金】
○ 正規と非正規の待遇差について、合理性の判断に迷うことが想定される■対応策例
【周知】
○ 社労士・税理士等の専門家や金融機関など、中小企業にとって身近なルートを通じて、幅広く周知。
○ 働き方改革推進支援センターにおいて、商工団体等と連携して、改正法に対応した労務管理、助成金等の支援策等に関して個別相談、セミナー等を実施。【下請取引】
○ 下請中小企業の長時間労働の背景として、親事業者の下請法等違反が疑われる場合に、労基署から中小企業庁や公正取引委員会に通報する制度の強化を図った。■労働基準監督署で把握した働き方改革を阻害する取引環境の改善事例
【事例①】
●従業員 :30名
●業 種 :運送業
<概要>
・ 家電などの配送を請け負う運送事業者
・ 労働時間の記録によると、36協定の限度時間を超え、かつ、1か月の拘束時間が最長330時間を超えるなど、複数の自動車運転者に長時間労働
<指導内容>
・ 労働基準法第32条違反(労働時間)
・ 改善基準告示違反(拘束時間)
<改善の取組>
・ 荷主会社と協議を行い、
① 荷主から入庫されていた製品について、一括入庫を改め、あらかじめ配送先ごとに仕分けして入庫してもらうこととし、運転前の仕分け作業を削減
② 荷主の指定先で集荷していた製品について、集荷ルートの各指定先の集荷時間を早め、荷待ち時間を縮減
⇒ 自動車運転者の総拘束時間が短縮【事例②】
●従業員 :350名
●業 種 :警備業
<概要>
・ 警備業務を請け負う事業者
・ 防災施設の警備業務に就く警備員14名について、36協定の限度時間を超え、1か月100時間超の残業
<指導内容>
・ 労働基準法第32条違反(労働時間)
<改善の取組>
・ 親会社に対して、
① 請負代金の値上げ要請と警備配置数の削減について提案
② 警備配置数が過大な業務については、業務委託契約の解約を申し出することにより、業務量の削減と受注単価の改善
⇒ 警備員の残業時間が短縮詳しくは下記参照先をご覧ください。
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2019.01.15
厚労省「過重労働解消相談ダイヤル」の相談結果を公表
厚生労働省は、11月の「過重労働解消キャンペーン」の一環として11月4日(日)に実施した「過重労働解消相談ダイヤル」の相談結果を表しました。今回の無料電話相談「過重労働解消相談ダイヤル」には、合計で501件の相談が寄せられました。相談内容としては、下記概要のとおり、「長時間労働・過重労働」に関するものが204件(40.7%)と一番多く、次いで「賃金不払残業」が174件(34.7%)、「パワハラ」が69件(13.7%)となりました。これらの相談のうち、労働基準関係法令上、問題があると認められる事案については、相談者の希望を確認した上で労働基準監督署に情報提供を行い、監督指導を実施するなど、必要な対応が行われます。
■相談結果の概要
相談件数 合計501件
【主な相談内容】
(件数は相談内容ごとに計上。括弧内は相談件数501件に対する割合。なお、1件の相談に対して複数の相談内容が含まれることもあるため、総合計が100%になりません。)
・長時間労働・過重労働 : 204件(40.7%)
・賃金不払残業 : 174件(34.7%)
・パワハラ : 69件(13.7%)【相談者の属性】(括弧内は相談件数501件に対する割合)
・労働者 : 313件(62.4%)
・労働者の家族 : 129件(25.7%)
・その他 : 39件 (7.7%)【主な事業場の業種】(括弧内は相談件数501件に対する割合)
・製造業 : 68件(13.5%)
・保健衛生業 : 65件(12.9%)
・商業 : 46件 (9.1%)■相談事例
【長時間労働・過重労働】
○ 製造業の作業員(製造業)【年齢不明、労働者】
会社と労働組合との間で、月90時間が上限の36協定届(時間外労働・休日労働に関する協定届)を締結しているが、実際は月100時間以上の残業となっており、中には月170時間も残業を行っている者もいた。
○ 一般貨物自動車運送業のドライバー(運輸交通業)【60代、労働者】
朝6時頃から深夜11時頃まで勤務しており、1日17時間以上働いている。会社には、タイムカードなどの出退勤記録がない。休みは毎週日曜日しかなく、疲れが溜まって身体が重い。休憩中も再配達の電話が入るため、休憩も取れない。【賃金不払残業】
○ 建設業の作業員(建設業)【年齢不明、労働者】
社長に対し、残業代の支払いを求めたところ「賃金に含まれている」と言われたが、賃金は基本給のみであり、これまでに固定残業手当が含まれていると聞いたことがない。固定残業手当や役職手当等は支払われていない。
○ 不動産管理業の事務(その他の事業)【30代、労働者】
労働時間管理は、自己申告制となっており、1箇月の時間外・休日労働時間は100時間から150時間になる。上司から、「残業が多いのは個人の責任だ」と注意されるため、1箇月40時間までしか残業申請できない状況である。【パワーハラスメント】
○ 繊維製品製造業の作業員(製造業)【40代、労働者の家族】
上司から、指示に従わないと叱責を受け、「アホ」など人格を傷つける言葉を言われ、失敗すると身体を叩かれたりした。数日後には、役員から呼び出され、自ら判断し退職するよう言われた。
○ 金属製品製造業の作業員(製造業)【年齢不明、労働者】
社長から日々、叱責を受けている。機械を使用して作業をしているが、失敗すると社員全員の前で社長から叱責を受ける。詳しくは下記参照先をご覧ください。
- 参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
- https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000144103_00001.html