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2025.03.07
「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」の見直しに関する報告書
厚生労働省の「介護休業制度等における『常時介護を必要とする状態に関する判断基準』の見直しに関する研究会」(座長:佐藤博樹東京大学名誉教授)において、見直しに関する報告書が取りまとめられましたので、公表します。
1:現行制度及び見直しの経緯
育児・介護休業法の介護休業等の対象となる「要介護状態」
介護休業等の対象となる「要介護状態」については、「育児・介護休業法」により「負傷、疾病又は身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり、常時介護を必要とする状態」とされています。
また、「常時介護を必要とする状態」については、下記の「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」によるものと整理されています。
常時介護を必要とする状態に関する判断基準

(注1)「対象家族」とは、配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母をいうものであり、同居の有無は問わない。
(注2)各項目の1の状態中、「自分で可」には、福祉用具を使ったり、自分の手で支えて自分でできる場合も含む。
(注3)各項目の2の状態中、「見守り等」とは、常時の付き添いの必要がある「見守り」や、認知症高齢者、障害児・者の場合に必要
な行為の「確認」、「指示」、「声かけ」等のことである。
(注4)「①座位保持」の「支えてもらえればできる」には背もたれがあれば一人で座っていることができる場合も含む。
(注5)「④水分・食事摂取の」の「見守り等」には動作を見守ることや、摂取する量の過小・過多の判断を支援する声かけを含む。
(注6)「危険回避ができない」とは、発達障害等を含む精神障害、知的障害などにより危険の認識に欠けることがある障害児・者が、
自発的に危険を回避することができず、見守り等を要する状態をいう。
(注7)⑨3の状態(「物を壊したり衣類を破くことがほとんど毎日ある」)には「自分や他人を傷つけることがときどきある」状態を
含む。
(注8)「⑩認知・行動上の課題」とは、例えば、急な予定の変更や環境の変化が極端に苦手な障害児・者が、周囲のサポートがなけれ
ば日常生活に支障を来す状況(混乱・パニック等や激しいこだわりを持つ場合等)をいう。
(注9)「⑫日常の意思決定」とは、毎日の暮らしにおける活動に関して意思決定ができる能力をいう。
(注 10)慣れ親しんだ日常生活に関する事項(見たいテレビ番組やその日の献立等)に関する意思決定はできるが、本人に関する重要
な決定への合意等(ケアプランの作成への参加、治療方針への合意等)には、支援等を必要とすることをいう。今般の見直しの経緯
育児・介護休業法に基づく介護休業法は、障害等がある子等を持つ労働者も取得可能であるところ、現行の判断基準では、主に高齢者介護を念頭に作成されており、「子に障害のある場合や医療的ケアを必要とする場合には解釈が難しいケースも考え得ることから、早急に見直しの検討が必要」とされました。これを踏まえ、本研究会において、見直しの検討を行いました。
2:見直しにあたっての観点
今回の見直しにあたっては、附帯決議等における指摘事項を踏まえ、障害児や医療的ケア児を育てている当事者団体や、企業実務者からのヒアリングも行った上で
①「子に障害のある場合や医療的ケアを必要とする場合」であっても、要件を満たせば、介護休業等を利用できる旨を明示する。②現行の判断基準のうち、「子に障害のある場合や医療的ケアを必要とする場合」に、解釈が難しい「文言」を特定した上で、表現の適
正化を行う。③障害等による介助の必要性や障害の程度を把握するための「5領域20項目の調査」(障害児通所支援の要否の決定で勘案することとさ
れている調査)や「障害支援区分認定調査表」との関係性を中心に、現行の判断基準では読みにくいケース等の整理を行う等の観点
から検討を行いました。3:新基準について
介護休業は、育児・介護休業法第2条第4号及び則第4条に基づく「対象家族」であって2週間以上の機関にわたり、常時介護を必要とする状態にあるもの(障害児・者や医療的ケア児・者を介護・支援する場合も含む。ただし、乳幼児の通常の成育過程において日常生活上必要な便宜を供与する必要がある場合は含まない)を介護するための休業であることを明示した上で、「常時介護を必要とする状態」については、以下の(1)または(2)のいずれかに該当する場合であることとします。(1)「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」(添付画像)の項目※1①~⑫のうち、状態について2が2つ以上、または3が1
つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること(2)介護保険制度の※2要介護状態区分において、要介護2以上であること
※1:障害児・者や医療的ケア児・者を介護・支援する場合、要介護認定を受けられる年齢(40歳)に達しない場合、介護を受ける家
族が介護保険料制度における要介護認定を既に受けているが、要介護1以下の場合についても、(1)の基準に該当すれば、引き
続き、「常時介護を必要とする状態」に該当すると判断します。※2:介護保険制度の要介護状態区分「要介護2以上」と設定した基準については、今般、見直しは行わない。なお、介護保険制度に
おける要介護認定を既に受けているが、要介護1以下の場合についても、(1)の基準に該当すれば、引き続き、「常時介護を必
要とする状態」に該当すると判断します。4:併せて対応をすべき検討事項について
・今般の判断基準の見直しも踏まえ、「対象家族」には配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母が含まれ、同居の有無
を問わないことや、そもそも介護休業制度では、高齢者のみならず、障害児・者や医療的ケア児・者を介護・支援する場合であって
も判断基準に該当すれば利用できることを、事業者や労働者に対し、広く周知に努めていくべきである。・なお、判断基準は最低基準であり、各事業主における独自の取組として、労働者にとってより緩やかな内容の制度とすることは望ま
しいことについても併せて周知を行うべきである。・また、対象家族のうち、障害児・者や医療的ケア児・者を介護・支援する労働者が、介護休業、介護休暇、短時間勤務の措置等を活
用し、継続就業につながった事例等の集積に努めるとともに、これらの事例等の周知啓発に努めていくべきである。詳しくは下記参照先をご覧ください。参照ホームページ [ 厚生労働省 ]https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/001387433.pdf
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2025.02.07
令和6年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します
厚生労働省では、このたび、令和6年「高年齢者雇用状況等報告」(6月1日現在)の集計結果を取りまとめましたので、公表します。「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では、65歳までの雇用の確保を目的として、「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じるよう、企業に義務付けています。加えて、70歳までの就業機会の確保を目的として、「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」という雇用による措置や、「業務委託契約を締結する制度の導入」、「社会貢献事業に従事できる制度の導入」という雇用以外の措置のいずれかの措置(高年齢者就業確保措置)を講じるように努めることを企業に義務付けています。
【集計結果の主なポイント】※[ ]は対前年差Ⅰ:65歳までの高年齢者雇用確保措置の実施状況
65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%[変動なし]
・中小企業では99.9%[変動なし]、大企業では100.0%[0.1ポイント増加]
・高年齢者雇用確保措置の措置内容別の内訳は
「継続雇用制度の導入」により実施している企業が67.4%[1.8ポイント減少]
「定年の引上げ」により実施している企業は28.7%[1.8ポイント増加]
Ⅱ:70歳までの高年齢者就業確保措置の実施状況
70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は31.9%[2.2ポイント増加]
・中小企業では32.4%[2.1ポイント増加]、大企業では25.5%[2.7ポイント増加]
Ⅲ:企業における定年制の状況
65歳以上定年企業(定年制の廃止企業を含む)は32.6%[1.8ポイント増加]
<集計対象>
■全国の常時雇用する労働者が21人以上の企業237,052社(報告書用紙送付企業数252,058社)
・中小企業(21~300人規模):219,992社
・大企業(301人以上規模):17,060社1:65歳までの高年齢者雇用確保措置の実施状況
(1)65歳までの高年齢者雇用確保措置の実施状況高年齢者雇用確保措置(以下「雇用確保措置」注1という)を実施済みの企業(236,920社)は、報告した企業全体の99.9%[変動なし]で、中小企業では99.9%(注2)[変動なし]、大企業では100.0%[0.1ポイント増加]でした。
(注1):雇用確保措置
高年齢者雇用安定法第9条第1項に基づき、定年を65歳未満に定めている事業主は、雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、以下のいずれかの措置を講じなければなりません。①定年制の廃止 ②定年の引上げ ③※継続雇用制度の導入
※継続雇用制度とは、現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいいます。平成24年度の法改正により、平成25年度以降、制度の適用者は原則として「希望者全員」となりました。平成24年度までに労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた場合、令和7年3月31日までは基準を適用可能(経過措置)。基準を適用できる年齢について、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢以上となるよう、段階的に引き上げており、令和4年4月1日から令和7年3月31日における基準を適用できる年齢は64歳です。
(注2):本集計に係る留意点
本集計は原則小数点第2位以下を四捨五入しているが、それにより0%となる数値については小数点第2位以下を切り上げ、100%となる数値については、小数点第2位以下を切り捨てとしている数値があります。(2)雇用確保措置を実施済みの企業の内訳
雇用確保措置を実施済みの企業(236,920社)について、雇用確保措置の措置内容別に見ると、定年制の廃止(9,247社)は3.9%[変動なし]、定年の引上げ(68,099社)は28.7%[1.8ポイント増加]、継続雇用制度の導入(159,574社)は67.4%[1.8ポイント減少]でした。
(3)継続雇用制度の導入により雇用確保措置を講じている企業の状況
継続雇用制度の導入により雇用確保措置を講じている企業(159,574社)を対象に、継続雇用制度の内容を見ると、希望者全員を対象とする継続雇用制度を導入している企業は86.2%[1.6ポイント増加]で、中小企業では87.6%[1.5ポイント増加]、大企業では71.1%[3.0ポイント増加]でした。一方、経過措置に基づき、対象者を限定する基準がある継続雇用制度を導入している企業(経過措置適用企業)は、企業規模計では13.8%[1.6ポイント減少]でしたが、大企業に限ると28.9%[3.0ポイント減少]でした。
(参考)経過措置適用企業における基準適用年齢到達者の状況(注3)
上記1(1)の注1に記載する経過措置に基づく対象者を限定する基準がある企業において、過去1年間(令和5年6月1日から令和6年5月31日)に、基準を適用できる年齢(64歳)に到達した者(49,584人)のうち、基準に該当し引き続き継続雇用された者は92.5%[0.3ポイント減少]、継続雇用の更新を希望しなかった者は6.5%[0.3ポイント増加]継続雇用を希望したが基準に該当せずに継続雇用が終了した者は1.1%[0.1ポイント増加]でした。(注3):本集計に係る留意点本集計は、原則小数点第2位以下を四捨五入しているため、内訳の積み上げが100%とはなりません。

2:70歳までの高年齢者就業確保措置の実施状況注4
(1)70歳までの高年齢者就業確保措置の実施状況
高年齢者就業確保措置(以下「就業確保措置」注5という)を実施済みの企業(75,643社)は、報告した企業全体の31.9%[2.2ポイント増加]で、中小企業では32.4%[2.1ポイント増加]、大企業では25.5%[2.7ポイント増加]でした。(2)就業確保措置を実施済みの企業の内訳
就業確保措置を実施済みの企業(75,643社)について措置内容別に見ると、報告した企業全体のうち、定年制の廃止(9,247社)は3.9%[変動なし]、定年の引上げ(5,690社)は2.4%[0.1ポイント増加]、継続雇用制度の導入(60,570社)は25.6%[2.1ポイント増加]、創業支援等措置(注6)の導入(136社)は0.1%[変動なし]でした。(注4):本集計に係る留意点
本集計は、原則小数点第2位以下を四捨五入しているため、内訳の積み上げが就業確保措置実施済み企業の割合に一致しない場合があります。(注5):就業確保措置
高年齢者雇用安定法第10条の2に基づき、定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主または65歳までの継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く)を導入している事業主は、その雇用する高年齢者について、次に掲げるいずれかの措置を講ずることにより、65歳から70歳までの就業を確保するよう努めなければなりません。①定年制の廃止
②定年の引上げ
③継続雇用制度の導入
④業務委託契約を締結する制度の導入
⑤社会貢献事業に従事できる制度の導入
(事業主が自ら実施する社会貢献事業または事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業)(注6):創業支援等措置
注5の就業確保に係る措置のうち、④業務委託契約を締結する制度の導入及び⑤社会貢献事業に従事できる制度の導入という雇用以外の措置を創業支援等措置という
3:企業における定年制の状況
報告した企業における定年制の状況について、定年年齢別に見ると次のとおりです。・定年制を廃止している企業(9,247社)は3.9%[変動なし]
・定年を60歳とする企業(152,776社)は64.4%[2.0ポイント減少]
・定年を61~64歳とする企業(6,930社)は2.9%[0.2ポイント増加]
・定年を65歳とする企業(59,693社)は25.2%[1.7ポイント増加]
・定年を66~69歳とする企業(2,716社)は1.1%[変動なし]
・定年を70歳以上とする企業(5,690社)は2.4%[0.1ポイント増加]
詳しくは下記参照先をご覧ください。参照ホームページ [ 厚生労働省 ]https://www.mhlw.go.jp/content/11703000/001357147.pdf
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2025.02.01
介護サービス事業者の経営情報の報告義務化について
本制度は、介護保険法の改正により、 介護サービス事業者の経営情報の調査及び分析等を行うための新たな制度として、 令和6年4月から創設されました。 これに伴い、原則として全ての介護サービス事業者は、 経営情報等を都道府県に報告することが義務化されました。
厚生労働省HP:
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2025.01.17
被用者保険の適用拡大と第3号被保険者制度を念頭に置いた「年収の壁」への対応
厚生労働省は短時間労働者の厚生年金への加入を拡大しようと、企業規模の要件に加えて、月額8万8000円以上とする賃金の要件も撤廃するかどうか検討を進めています。撤廃されれば、いわゆる「年収106万円の壁」が解消されることになります。
また、「年収106万円の壁」撤廃に伴い、「第3号被保険者制度」の在り方についても同時に検討されています。 ここでは現在、社会保障審議会年金部会でどのような議論が行われているのかをご紹介します。
現在、パートなどで働く短時間労働者が厚生年金に加入できる要件は、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業で、週20時間以上働き、月額8万8000円以上の賃金を受け取っている学生以外の人が対象となっています。雇用される労働者は、常用・パート・アルバイト・派遣等、名称や雇用形態にかかわらず、①1週間の所定労働時間が20時間以上であり、②31日以上の雇用見込みがある場合には、原則として被保険者となります。
1:第3号被保険者制度を念頭に置いたいわゆる「年収の壁」への対応
年金部会における賃金要件に対する意見と見直しの方向性
→最低賃金の引上げに伴い、労働時間要件を満たせば賃金要件も満たす地域や事業者の増加が見込まれることと、賃金要件が就業調整の基準として意識されていることから、本要件を撤廃してはどうか?
医療保険部会における賃金要件に対する意見
→社会保障制度の維持の観点から方向性に異論はないが、さらなる適用拡大によって、特に短時間労働者を多く抱える業種の健保組合 の財政的な負担が増えることも考えられるため、健保組合の財政影響についても十分留意をいただいて、必要な財政支援をお願いしたい。
被用者保険の適用拡大の進め方のイメージ
<見直しの方向性>
賃金要件の撤廃
<進め方の考え方>
最低賃金の引上げに伴い労働時間要件を満たせば本要件を満たす地域や事業所が増加していることを踏まえ、本要件を撤廃してはどうか。その際、最低賃金の動向を踏まえつつ、本要件撤廃の時期に配慮してはどうか
<見直しの方向性>
企業規模要件の撤廃
<進め方の考え方>
本要件の撤廃の際に、短時間労働者が適用の対象となる事業所は50人以下の中小事業所であり、配慮が必要なことから、十分な周知・準備期間を確保してはどうか。
<見直しの方向性>
非適用業種の解消
<進め方の考え方>
新たに被用者保険の適用事業所となり、短時間労働者のみならず、いわゆるフルタイム相当の通常の労働者も適用対象となることから、さらに十分な周知・準備期間を確保してはどうか。
2:第3号被保険者制度を念頭に置いたいわゆる「年収の壁」への対応
・就業調整に対応した保険料負担割合を任意で変更できる特例
現行制度では、被用者保険の保険料は原則として労使折半であるが、厚生年金保険法においては健康保険法のような保険料の負担割合の特例に関する規定はない。被用者保険の適用に伴う保険料負担の発生・手取り収入の減少を回避するために就業調整を行う層に対し、健康保険組合の特例を参考に、被用者保険(厚生年金・健康保険)において、任意で従業員と事業主との合意に基づき、事業主が被保険者の保険料負担を軽減し、事業主負担の割合を増加させることを認める特例を設けてはどうか。
一方、この特例措置が先例となり、年金制度において一般化していく布石とならぬように、目的を明確にした上で、時限措置で対象者も限定し、労働者負担が当事者の合意のみで形骸化しないように、負担割合の変更限度を示す必要がある。
・「第3号被保険者制度の在り方」における主な意見
第3号被保険者制度は、40年前にできた制度で共働きの一般化や家族形態の多様化によって時代にそぐわない制度となっており、女性の勤労意欲をそぐことにつながり、社会進出を阻害している。第3号被保険者を廃止することで、女性の経済的自立が進み生涯所得の増加も期待できるため、高齢女性の貧困対策にもつながる。廃止する場合は、働きたくても育児・介護により十分に働くことができない人への配慮や充実した支援策を手当てすることが必要ではないか。
・今後の検討の進め方
第3号被保険者制度については、適用拡大によってまず縮小させる方針は必要。 他方で第1号被保険者の育児期間中の保険料免除制度が導入されるなど、第3号被保険者を取り巻く制度的な状況が変化してきており、第3号被保険者制度に育児を担っている方への配慮という面があるならば、第1号被保険者との整合性についても検討していくべき。
第3号被保険者制度の在り方は、今の若い世代の未来の姿、働き方、特に女性の働き方に対する考え方に影響するほどの重要なテーマであり、「制度をこのままの姿で残す」ことも考え方としてはある。一方で、制度があることで、昭和的とも言える就業調整などといった価値観までもがいつまでも継続してしまうのではないかといった懸念もある。特に女性については世代ごとに実態・状況が大きく異なるため、若い世代からの見直しの方向性を探るなども含めて、議論をすべき。詳しくは下記参照先をご覧ください。参照ホームページ [ 厚生労働省 ]https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001348971.pdf
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2024.12.04
厚生労働省では、12月を「職場のハラスメント撲滅月間」と定めています。
職場におけるハラスメントは、働く人が能力を十分に発揮することの妨げになるのはもちろん、個人の尊厳や人格を不当に傷つけるなど、人権に関わる許されない行為です。
厚生労働省は、12月を「職場のハラスメント撲滅月間」と定め、ハラスメントのない職場づくりを推進するため、集中的な広報啓発活動を実施します。
ここでは、ハラスメントとは何か、どのような行為がハラスメントに該当するのかなどをご紹介していきます。
◎職場におけるパワーハラスメントとは?
職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。
①「優越的な関係を背景とした」言動とは
業務を遂行するに当たって、当該言動を受ける労働者が行為者とされる者(以下「行為者」という。)に対して抵抗や拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるものを指します。
● 例
職務上の地位が上位の者による言動 同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有して おり、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの
②「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動とは
社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないものを指します。
●例
業務上明らかに必要性のない言動業務の目的を大きく逸脱した言動業務を遂行するための手段として不適当な言動 当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動
③「就業環境が害される」とは
当該言動により、労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じる等の当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。
この判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、「同様の状況で当該言 動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうか」を基準とすることが適当です。
◎パワハラに該当すると考えられる例と該当しないと考えられる例
職場におけるパワーハラスメントの状況は多様ですが、代表的な言動の類型としては以下の6つの類型があり、類型ごとに典型的にパワーハラスメントに該当し、又はしないと考えられる例としては以下のようなものがあります。
◎職場におけるセクシュアルハラスメントとは
職場のセクシュアルハラスメントとは、職場において行われる「労働者」の意に反する「性的な言動」により、労働者が労働条件について不利益を受け、就業環境が害されることをいいます。
「性的な言動」とは
→性的な内容の発言や性的な行動のことをいいます。
○性的な内容の発言の例
性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報(うわさ)を流すこと、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、個人的な性的体験談を話すことなど
○性的な行動の例
性的な関係を強要すること、必要なく身体に触れること、わいせつ図画を配布掲示すること、強制わいせつ行為、強姦など
◎担当者の方へ
担当者の対応次第で、ハラスメント被害を最小限に収まることができ、また事前に予防できるケースもあります。
しっかりと正しい情報を収集しましょう。
ハラスメントを受けたと相談された場合
まず、担当者は相談者へ秘密の保持や相談によって不利益な取り扱いがないこと、本人の意思や希望を尊重することを伝えます。
そのうえで相談者に対して以下のこと聞いてください。
①行為者はだれか、相談者との関係
②問題行為がいつ、どこで、どのように行われ、相談者はどのように感じ、対応したか。
③行為者は他の人に対しても同様の行為はあるか。
④誰かに相談したか。
⑤問題行為の現在の状況と相談者の心身の状況
⑥どのような解決を望むのか。
相談者の訴えたいことを自由に話してもらい、時間をかけて丁寧に聞くという姿勢が何よりも大切です。
また、ハラスメントをしたと疑われている行為者への対応も非常に重要です。
行為者に事情を聴く場合、次のことを意識してください。
①行為者への面接の実施や方針については、必ず相談者の同意をとる。
②面接の目的を説明し、行為者の同意を得る。
③プライバシー保護を伝える。
④名誉や尊厳を傷つけないよう留意し、はじめから加害者と決めつけるような態度をとらない。
⑤弁明の機会は十分に与える。
⑥担当者は、虚偽や隠ぺいは許さないという毅然とした態度をとる。
⑦行為者に対して、相談者の割り出しや当事者同士で話し合う等の行為を禁止する。
◎会社でできる対応策
①トップのメッセージ
組織のトップが、ハラスメントは職場からなくすべきであることを明確に示しましょう。
組織の方針が明確になれば、ハラスメントを受けた従業員やその周囲の従業員も、問題点の指摘や解消に関して発言がしやすくなり、その結果、取組の効果がより期待できます。
②ルールを決める
就業規則にハラスメントに関する項目を置き、ハラスメント行為を行っていた者については、懲戒規定等に基づき厳正に対処する旨を定めましょう。
③実態を把握する
従業員アンケートなどを利用し、ハラスメントの実態把握に努めましょう。
アンケートを実施する際は、より正確な実態把握や回収率向上のために、匿名での実施が効果的です。
④教育する
社内でハラスメントに関する研修を実施しましょう。
研修は可能な限り対象者全員に受講させ、定期的に、繰り返して実施することでより効果を得られます。
⑤周知する
組織の方針、ルールや相談窓口などについて、積極的に周知することが必要です。計画的かつ継続した周知を実施していきましょう。
⑥相談や解決の場を設置する
従業員が相談しやすい窓口を設置し、できるだけ、初期の段階で気軽に相談できる仕組みを整えましょう。詳しくは下記参照先をご覧ください。参照ホームページ [ 厚生労働省 ]https://www.gov-online.go.jp/data_room/calendar/202412/event-3036.html







