-
2018.04.13
平成30年5月からの確定拠出年金制度の改正
厚生労働省から、平成30年3月15日「確定拠出年金制度等の一部を改正する法律の主な概要(平成30年5月1日施行)」が公表されました。 確定拠出年金制度について、平成30年5月から、確定拠出年金における運用の改善、中小企業向けの対策、確定拠出年金及び確定給付企業年金におけるポータビリティの拡充等を内容とする改正が施行されます。
確定拠出年金制度は、事業主等が拠出した掛金を個々の加入者が投資信託、預貯金、保険商品等の運用商品を選択した上で運用し、その運用結果に基づく年金を老後に受け取る制度です。 したがって、老後までの間の運用が、将来給付を左右することとなるため、個々人の運用商品の選択が重要となります。改正確定拠出年金法では、加入者の運用商品の選択に資するべく、事業主等に対するいわゆる「投資教育」の提供や最低でも3つ以上(簡易企業型年金においては2つ以上)の商品の提示を義務付ける等の改正を行っています。
概要は次のとおりです。
●中小事業主掛金納付制度の創設(個人型年金関係)
○中小事業主掛金納付制度は、企業年金を実施していない中小企業が、従業員の老後の所得確保に向けた支援を行うことができるよう、その従業員の掛金との合計がiDeCoの拠出限度額の範囲内(月額2.3万円相当)でiDeCoに加入する従業員の掛金に追加して、事業主が掛金を拠出することができる制度です。
○当該制度を利用する場合は、iDeCoの実施主体である国民年金基金連合会及び厚生労働大臣(地方厚生(支)局長)に届け出る必要があります。
○従業員の掛金は、中小事業主掛金とあわせて、事業主を介して国民年金基金連合会に納付する必要があります。
●簡易企業型年金の創設(企業型年金関係)
設立条件を一定程度パッケージ化された制度とすることで、設立時に必要な書類等を削減して設立手続きを緩和するとともに、制度運営についても負担の少ないものにするなど、中小企業向けにシンプルな制度設計とした企業型年金(簡易企業型年金)を創設簡易型DCで簡素化される事務
【導入時に必要な書類の簡素化】
○導入時に必要な書類は、原則、「規約案」、「厚年適用事業所確認書類」、「従業員が100人以下であることを証する書類」、「労働組合等の同意」、「労使協議の経緯」、「労働組合の現況 に関する事業主証明書」に限定するよう大幅に簡素化。
※「運管委託契約書」、「資産管理契約書」、「運管選任理由書」、「就業規則」(原則)等の添付書類の省略を可とする。【規約変更時の承認事項を届出事項に簡素化】
○「事業主の運管業務」、「運管委託業務」、「運管委託契約事項」、「資産管理契約事項」、「事業主掛金の納付事項」、「加入者掛金の納付事項」を届出事項とする。【業務報告書の簡素化】
○報告を必須とする事項を「他の企業年金の実施状況」、「厚生年金保険適用者数」、「指定運用方法の選定状況(労使協議の経緯を含む。)」等に限定。詳しくは下記参照先をご覧ください。
- 参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
- http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192886.html
-
2018.04.05
雇用保険届出にマイナンバーの記載がない場合は返戻されます
平成30年5月以降、雇用保険届出に関し、マイナンバーの記載が必要な届出等について、マイナンバーの記載がない場合には補正のため届出等が返戻されます。
■マイナンバーの記載が必要な届出は以下のとおりです
(1) 雇用保険被保険者資格取得届
(2) 雇用保険被保険者資格喪失届
(3) 高年齢雇用継続給付支給申請
(4) 育児旧票給付支給申請
(5) 介護休業給付支給申請(1)(2)(5)の届出等の際には、届出等にマイナンバーの記載が必要です。
(3)(4)の高年齢継続給付、育児休業給付の初回申請時には申請書にマイナンバーの記載が必要。平成28年1月以降に初回申請を行った際にマイナンバーの届出を行っていない場合が、2回目以降の申請時等の機会を 捉え、個人番号登録・変更届をあわせて提出します。
【マイナンバー記載箇所】
出典:厚生労働省リーフレット「雇用保険の届出にマイナンバーの記載が必要です」】
- 参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
-
2018.04.05
2018年4月から第13次労働災害防止計画が始まります
第13次労働災害防止計画は、2018年度(平成30年度)を初年度とする5年間を対象としたものです。この計画は、過労死やメンタルヘルス不調への対策の重要性が増していることや、就業構造の変化及び労働者の働き方の多様化を踏まえ、労働災害を少しでも減らし、安心して健康に働くことができる職場の実現に向けて、国、事業者、労働者等の関係者が目指す目標や重点的に取り組むべき事項を定めたものです。
第13次労働災害防止計画が目指す社会
「一人の被災者も出さないという基本理念の下、働く方々の一人一人がより良い将来の展望を持ち得るような社会」働く方々の一人一人がかけがえのない存在であり、それぞれの事業場において、日々の仕事が安全で健康的なものとなるよう、不断の努力が必要です。
また、一人一人の意思や能力、そして置かれた個々の事情に応じた、多様で柔軟な働き方を選択する社会への移行が進んでいく中で、従来からある単線型のキャリアパスを前提とした働き方だけでなく、正規・非正規といった雇用形態の違いにかかわらず、副業・兼業、個人請負といった働き方においても、安全や健康が確保されなければなりません。
さらに、就業構造の変化等に対応し、高年齢労働者、非正規雇用労働者、外国人労働者、障害者である労働者の安全と健康の確保を当然のこととして受け入れていく社会を実現しなければなりません。■計画の目標
全体
死亡災害:15%以上減少 死傷災害:5%以上減少業種別
建設業、製造業、林業 : 死亡災害を15%以上減少
陸上貨物運送事業、小売業、社会福祉施設、飲食店 :死傷災害を死傷年千人率で5%以上減少その他目標
○仕事上の不安・悩み・ストレスについて、職場に事業場外資源を含めた相談先がある労働者の割合を90%以上(71.2%:2016年)
○メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上(56.6%: 2016年)
○ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を60%以上(37.1%: 2016年)
○化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)による分類の結果、危険有害性を有するとされる全ての化学物質について、ラベル表示と安全データシート(SDS)の交付を行っている化学物質譲渡・提供者の割合を80%以上(ラベル表示60.0%、SDS交付51.6%: 2016年)
○第三次産業及び陸上貨物運送事業の腰痛による死傷者数を2017年と比較して、2022年までに死傷年千人率で5%以上減少
○職場での熱中症による死亡者数を2013年から2017年までの5年間と比較して、2018年から2022年までの5年間で5%以上減少■8つの重点事項
(1)死亡災害の撲滅を目指した対策の推進
○建設業における墜落・転落災害等の防止
○製造業における施設、設備、機械等に起因する災害等の防止
○林業における伐木等作業の安全対策 等(2)過労死等の防止等の労働者の健康確保対策の推進
○労働者の健康確保対策の強化
○過重労働による健康障害防止対策の推進
○職場におけるメンタルヘルス対策等の推進 等(3)就業構造の変化及び働き方の多様化に対応した対策の推進
○災害の件数が増加傾向にある又は減少がみられない業種等への対応
○高年齢労働者、非正規雇用労働者、外国人労働者及び障害者である労働者の労働災害の防止 等(4)疾病を抱える労働者の健康確保対策の推進
○企業における健康確保対策の推進、企業と医療機関の連携の促進
○疾病を抱える労働者を支援する仕組みづくり 等(5)化学物質等による健康障害防止対策の推進
○化学物質による健康障害防止対策
○石綿による健康障害防止対策
○電離放射線による健康障害防止対策 等(6)企業・業界単位での安全衛生の取組の強化
○企業のマネジメントへの安全衛生の取込み
○労働安全衛生マネジメントシステムの普及と活用
○企業単位での安全衛生管理体制の推進 等(7)安全衛生管理組織の強化及び人材育成の推進
○安全衛生専門人材の育成
○労働安全・労働衛生コンサルタント等の事業場外の専門人材の活用 等(8)国民全体の安全・健康意識の高揚等
○高校、大学等と連携した安全衛生教育の実施
○科学的根拠、国際動向を踏まえた施策推進 等- 詳しくは下記参照先をご覧ください。
- 参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
- http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000197308.html
-
2018.03.29
監督官OB54人が復帰へ――厚労省・全国労基署の機能強化
厚生労働省は、長時間労働の是正を柱とする実効性ある働き方改革を推進するため、全国労働基準監督署の監督指導態勢を一段と強化する方針である。合計54人の労働基準監督官OBに非常勤として監督指導業務に復帰してもらい、長時間労働が疑われる事業場などを立入り調査するほか、監督官以外でも「労働時間管理適正化指導員」や「時間外及び休日労働点検指導員」の大幅増員を図って、36協定などの適法化に努める。昨年閣議決定した「働き方改革実行計画」において「監督指導の徹底」を予定していた。
-
2018.03.22
雇用型テレワークなどについてガイドラインを公表
厚生労働省から、「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」が公表されています。これは、「働き方改革実行計画(平成29年3月決定)」を受けて、従来の「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」を改定して策定されたものです(平成30年2月22日策定)。
労働者が情報通信技術を利用して行う事業場外勤務(以下、テレワーク)は、業務を行う場所に応じて、労働者の自宅で業務を行う在宅勤務、労働者の属するメインのオフィス以外に設けられたオフィスを利用するサテライトオフィス勤務、ノートパソコンや携帯電話等を活用して臨機応変に選択した場所で業務を行うモバイル勤務といった分類がされます。
いずれも、労働者が所属する事業場での勤務に比べて、働く時間や場所を柔軟に活用することが可能で、通勤時間の短縮及びこれに伴う精神的・身体的負担の軽減、仕事に集中できる環境での就労による業務効率化及びこれに伴う時間外労働の削減、育児や介護と仕事の両立の一助となる等、労働者にとって仕事と生活の調和を図ることが可能となるといったメリットがあります。
また、使用者にとっても、業務効率化による生産性の向上、育児・介護等を理由とした労働者の離職の防止や、遠隔地の優秀な人材の確保、オフィスコストの削減等のメリットがあります。
上記のテレワークの形態ごとの特徴を例示すると以下のような点が挙げられます。
1:在宅勤務
通勤を要しないことから、事業場での勤務の場合に通勤に要する時間を有効に活用できます。
例えば育児休業明けの労働者が短時間勤務等と組み合わせて勤務することが可能となること、保育所の近くで働くことが可能となること等から、仕事と家庭生活との両立に資する働き方となります。2:サテライトオフィス勤務
自宅の近くや通勤途中の場所等に設けられたサテライトオフィスでの勤務は、通勤時間を短縮しつつ、在宅勤務やモバイル勤務以上に作業環境の整った場所で就労可能な働き方です。3:モバイル勤務
労働者が自由に働く場所を選択できる、外勤における移動時間を利用できる等、働く場所を柔軟に運用することで、業務の効率化を図ることが可能な働き方です。ガイドラインは雇用型テレワーク(事業者と雇用契約を結んだ労働者が自宅等で働くテレワークを「雇用型テレワーク」といいます)について、長時間労働を招かないよう労働時間管理の仕方などを整理し、在宅勤務以外の形態(モバイル・サテライト)にも対応するものとなっています。
たとえば、雇用している社員を対象としてテレワークを実施する場合においても、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法等の労働基準関係法令が適用されますが、その留意点などがまとめられています。また、ガイドラインを分かりやすくまとめたパンフレットも作成されています。
さらに、平成30年3月2日に開催されたテレワーク関係府省連絡会議(総務省、厚生労働省、経済産業省及び国土交通省の副大臣等から構成)において、2018年の「テレワーク・デイズ」の実施方針が決定されました。
経済産業省及び総務省では、関係府省・団体と連携し、2020年までの毎年、東京オリンピックの開会式が予定されている7月24日を「テレワーク・デイ」とし、企業等による全国一斉のテレワークを実施することとしています。
第1回目だった昨年は、約950団体、6.3万人が参加しています。今回のテレワーク関係府省連絡会議において、2018年は、「テレワーク・デイズ」として複数日のテレワーク実施を呼びかけることとし、その実施方針が決定されました。
「テレワーク・デイズ」への参加登録等の詳細については、決まり次第別途お知らせするとのことです。
実施方針については、こちらをご覧ください。
<2018年「テレワーク・デイズ」の実施方針(実施について・実施期間)>詳しくは下記参照先をご覧ください。