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働き方改革に対する中小企業・小規模事業者の声と取引環境の改善事例等

投稿日時:2019年01月15日

首相官邸において行われた「第6回中小企業・小規模事業者の長時間労働是正・生産性向上と人材確保に関するワーキンググループ」において、働き方改革に対する中小企業・小規模事業者の声や、労働基準監督署で把握した働き方改革を阻害する取引環境の改善事例等が紹介されています。同ワーキンググループは、中小・小規模事業者の長時間労働是正や生産性向上、人材確保の取組等について、省庁横断的に必要な検討を行うため、平成29年9月1日に設置されたものです。

■中小企業・小規模事業者の声
【周知】
○ 様々な改正がある中で、まずは何から取り組んだら良いか、優先事項と手順を教えて欲しい。
○ 取組内容の実例提示に加えて、それらの中から自社にあった取組は何であるか教えて欲しい。

【36協定・就業規則】
○ この機会に年休や時間外労働に関する社内規定を整備したい。ノウハウがないので基礎から教えて欲しい。

【年次有給休暇】
○ 客先常駐で仕事を行っており、客先によっては有給休暇が取得しづらいところもある。しかし、今回の法改正により年5日の有給を与える必要が法律で明記されたため、これを理由に客先に有給休暇取得の理解を求めやすくなった。

【人手不足】
○ 新卒、パートともに人材がとれない。労務管理の工夫や使える助成金についてのアドバイスが欲しい。
○ 働き方改革については、取り組まないと採用できない、生き残れない、と感じている。

【長時間労働】
○ 人手不足の中、受注増加に残業で対応しており、削減に取り組める余裕がない。
○ これまで時短に関心のなかった社長や営業部署が、「働き方改革」と言えば耳を傾けるようになったので、総務担当としては時短が進めやすくなり、ありがたい。

【同一労働同一賃金】
○ 正規と非正規の待遇差について、合理性の判断に迷うことが想定される

■対応策例
【周知】
○ 社労士・税理士等の専門家や金融機関など、中小企業にとって身近なルートを通じて、幅広く周知。
○ 働き方改革推進支援センターにおいて、商工団体等と連携して、改正法に対応した労務管理、助成金等の支援策等に関して個別相談、セミナー等を実施。

【下請取引】
○ 下請中小企業の長時間労働の背景として、親事業者の下請法等違反が疑われる場合に、労基署から中小企業庁や公正取引委員会に通報する制度の強化を図った。

■労働基準監督署で把握した働き方改革を阻害する取引環境の改善事例
【事例①】
●従業員 :30名
●業 種 :運送業
<概要>
・ 家電などの配送を請け負う運送事業者
・ 労働時間の記録によると、36協定の限度時間を超え、かつ、1か月の拘束時間が最長330時間を超えるなど、複数の自動車運転者に長時間労働
<指導内容>
・ 労働基準法第32条違反(労働時間)
・ 改善基準告示違反(拘束時間)
<改善の取組>
・ 荷主会社と協議を行い、
① 荷主から入庫されていた製品について、一括入庫を改め、あらかじめ配送先ごとに仕分けして入庫してもらうこととし、運転前の仕分け作業を削減
② 荷主の指定先で集荷していた製品について、集荷ルートの各指定先の集荷時間を早め、荷待ち時間を縮減
⇒ 自動車運転者の総拘束時間が短縮

【事例②】
●従業員 :350名
●業 種 :警備業
<概要>
・ 警備業務を請け負う事業者
・ 防災施設の警備業務に就く警備員14名について、36協定の限度時間を超え、1か月100時間超の残業
<指導内容>
・ 労働基準法第32条違反(労働時間)
<改善の取組>
・ 親会社に対して、
① 請負代金の値上げ要請と警備配置数の削減について提案
② 警備配置数が過大な業務については、業務委託契約の解約を申し出することにより、業務量の削減と受注単価の改善
⇒ 警備員の残業時間が短縮

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ [ 首相官邸 ]
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/katsuryoku_kojyo/choujikan_wg/dai6/gijisidai.html